福井県工業技術センター(福井市)と太陽電池メーカー「スフェラーパワー」(京都市)は、直径1.2ミリメートルの手芸用ビーズのような小さな球状太陽電池を多数織り込んだ、世界初の発電できる太陽電池テキスタイル(布地)の試作に成功したと発表した。

球状太陽電池(商品名、スフェラー〈Sphelar〉®)は、液状化したシリコンを高さ14メートル、直径30センチメートルの真空チューブ中に落とし、底部の回収槽に届くまでの1.5秒間に無重力環境下で球状に結晶化させたもので、p型半導体の核の周囲にn型半導体の層を形成させ、両極を加工して正負の電極を付けている。この1粒のセルだけで、太陽光の片面照射で0.4-0.5ミリワット発電でき、変換効率は19%ほど。反射板などの利用で、変換効率はさらに高めることができる。球状なので、平面型パネルに比べて約3倍の採光量があるという。

このセルは直列でも並列でも何個もつなげられ、垂直面や曲面での利用、樹脂やガラスなどに挟んでの製品も考案され、一部販売されている。今回、試作したテキスタイルは、電気を通す特殊な糸で数多くのセルをつないで「よこ糸」とし、それを「たて糸」とともに織り込んだ布地で、厚みは1.4ミリメートルと薄く、曲げた状態でも発電できる。この“発電する布地”の開発は今年度、国の戦略的基盤技術高度化支援事業にも採択され、同センターや県内企業との研究チームが2015年度をめどに、壁や屋根などの建造物での利用や製品化などを目指していく。

試作された太陽電池テキスタイル(提供:福井県工業技術センター)

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