シャープは10月25日、液晶テレビ「AQUOSクアトロン XL」シリーズを発表した。ラインナップは80V型の「LC-80XL9」、70V型の「LC-70XL9」、60V型の「LC-60XL9」、52V型の「LC-52XL9」、46V型の「LC-46XL9」の5モデルとなっている。

発売はLC-70XL9とLC-60XL9が11月30日で、他の3モデルは12月15日。価格はオープンで、推定市場価格は、LC-80XL9が1,000,000円前後、LC-70XL9が700,000円前後、LC-60XL9が380,000円前後、LC-52XL9が320,000円前後、LC-46XL9が280,000円前後。

「モスアイパネル」を採用する「AQUOSクアトロン XL」シリーズ。左が「LC-80XL9」で、右が「LC-70XL9」

「XL」シリーズは、「モスアイパネル」を搭載した初のモデルだ。モスアイとは、"モス(蛾)"の眼の表面構造の研究から生まれた技術だ。

蛾の眼は、他の生物の眼と異なり、暗闇でも光ることがない。これは、眼の表面にナノ(nm)レベルの微細な突起があるためだ。光の反射は、光を通す物質の屈折率が変化する境界で発生する。蛾の眼では、微細な突起によって屈折率を連続的に変化させることで、反射を抑制。

モスアイパネルは、このような蛾の眼を構造的に研究することから生まれたもの。液晶パネルの表面にモスアイフィルムを貼ることで、蛾の眼の表面と同じようにナノレベルの突起が設けられている。

モスアイパネルの電子顕微鏡写真。右側の蛾の目の表面に近い構造

クリアタイプのパネルだけでなく、従来の低反射パネルよりも、反射率は圧倒的に低い

「XL」シリーズでは、このモスアイパネルによって、画面への映り込みを大幅に低減。明るい部屋でも、より純度の高い黒色の表現が可能となり、高いコントラストを実現した。

フィルムの生産は大日本印刷が委託されており、「モスアイ」の商標も大日本印刷が所持している。ただし、パネルの開発そのものを行ったのはシャープで、他社のテレビにこのフィルムが採用される予定は、現状ではないとのことだ。

映り込みが少ないだけでなく、低反射パネルよりもくっきりとした色と映像を実現する

モスアイパネルは、2012年10月2日~6日に幕張メッセで開催された「CEATEC JAPAN 2012」の同社ブースでも展示されていた

「XL」シリーズでは、画質だけでなくオーディオ面も強化されている。ツイーター、ミッドレンジ、サブウーファーを、独立した密閉構造のスピーカーボックスに搭載する。さらに、音響補正や帯域拡張サラウンドが盛り込まれたヤマハの"「AudioEngine」"も採用。自然でクリアなサウンドを実現している。

「XL」シリーズに搭載されるスピーカーユニット

また、「GL7」「G7」シリーズと同様に、ネットの情報とテレビの情報を1画面でスムーズに操作できる「ビジュアルモーションガイド」も搭載している。

主な仕様は、表示画素数が1,920×1,080ドット、ダイナミックコントラストが1,000万:1、視野角が上下左右ともに176度、バックライトがエッジ型LEDとなっている。内蔵スピーカーは実用最大出力7.5W×2+15Wの2.1ch、接続インタフェースはHDMI入力×4系統、D5入力×1系統、ビデオ入力×1系統、USBポート×3基、LANポートなどを備える。

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