NECは19日、同社ノートPC・デスクトップPCの秋冬新製品を発表、合わせて都内で発表会を行った。

NECパーソナルコンピュータ株式会社 代表取締役社長 高塚栄氏と、日本マイクロソフトの代表執行役社長 樋口泰行氏。両者とも、ピュアタブレットやスマートフォンと、PCとの間には溝があると語る。「そこを埋める、同じ操作UIを提供するのがWindows 8」(高塚氏)

発表会では、同社代表取締役社長の高塚栄氏や、商品企画本部本部長の栗山浩一氏が2012年の秋冬新製品について解説したほか、ゲストで登壇した日本マイクロソフトの代表執行役社長 樋口泰行氏が、祝辞と26日に発売する新OS「Windows 8」への意気込みを述べた。

「PCを初めて使った時のようなワクワク感を全ての人に」 - NEC高塚氏

まず、同社の秋冬新製品を取り巻く環境として、高塚氏は2011年4月に発表したレノボとの経営統合に触れた。

NECへのコールセンターの移管といった「ユーザーへのサービス・サポートの充実」と、2012年7月に発表した世界最軽量のUltrabook「LaVie Z」のような「魅力的な商品の開発(具現化)」の2点を協業のシナジー効果とし、Windows 8市場でもその2点を向上させていく。

NECパーソナルコンピュータ株式会社 代表取締役社長 高塚栄氏

ユーザーサービスの取り組み

高塚氏は、Windows 8の登場について「Windows 95以来、17年ぶりとなる大きなインタフェースの革命と捉えている」とコメント。

「情報を読み込むのに適したタブレットやスマートフォンと、ヘビーな作業をするPCの両方で使えるインタフェースがWindows 8。大昔、PCを誰も触ったことが無い時に、すごいものが出てきたと言われ、PCは新しい世界に参加できる期待感があった。Windows 8で、同じようなワクワク感をもう一度全ての人が体験できるような提案をする」と語った。

高塚氏によると、2012年秋冬モデルの同社のポイントは2点、「タッチパネル」と「Windows RT」だという。

タッチパッドとWindows RTのような魅力的な製品がWindows 8を搭載する同社秋冬モデルのポイント

タッチ操作が可能なPC「タッチオールスターズ」

同社の秋冬新製品でタッチパネル液晶を採用するのは、15.6型ノートPC「LaVie L」「LaVie S」(LS550)「とことんサポートPC」、Windows RT搭載のコンバーチブルタブレット「LaVie Y」のノートPCのみ。

同社のデスクトップPCにはタッチ液晶搭載モデルはないが、タッチ操作が可能なPC「タッチオールスターズ」の中には、テレビ機能を搭載したデスクトップPC「VALUESTAR N」と「VALUESTAR W」に同梱する、新開発の「タッチパッドリモコン」も含まれる。

これは、同社が使いやすさを重視してタッチ操作UIを提供する、という姿勢をとったため。「デスクトップは大きなマシン。テレビ視聴など離れても使いたい。なので、画面にタッチ機能を載せるよりは、リモコン裏側にタッチパッドを備え、少し離れた場所からタッチ操作して欲しいという提案です」(高塚氏)

なお、「タッチパッドリモコン」は、マウスポインタの遷移やページの送り・戻し、ピンチ操作やスワイプ操作など、最大5点タッチに対応。ノートPCのタッチパッドと近い操作感で、PCを操作できる。

デスクトップにはタッチ液晶は搭載しないが、使いやすい形でさまざまなタッチ操作を提案する

Windows RTとLaVie Yを紹介する高塚氏

また、Windows RTについては、Tegra 3を搭載し、タブレット形状でもノートPC形状でも使えるコンバーチブルタブレット「LaVie Y」を紹介。

レノボとの共同開発で完成した「LaVie Y」は、シナジー効果で生まれた"魅力的な商品"の1つとした。

「スマートフォンやタブレットと、PCの間を埋める製品。ブラウジングやメール返信がしたい、SNSに書き込みがしたいというキーボードのニーズが出てくる」(高塚氏)とし、同社PCシリーズのキーワードである『安心、安全、快適(AKK)』とともに、「市場活性化とともに、ユーザーに喜んでもらえる製品を提案していく」と語った。

なお、質疑応答でレノボの「IdeaPad Yoga」との関連について質問されると、「LaVie Y」は日本ユーザー向けにカスタマイズされているとコメント。外装の色や日本語キーボードの採用、小型アダプタ、キートップの刻印などが、国内向けにカスタマイズされている部分と回答した。

会場に展示されていた「LaVie Y」。360度液晶が回転するコンバーチブルタイプで、Windows RT版とNVIDIA Tegra 3プロセッサを搭載している。重量は1.24kg

Windows 8は最大規模のマーケティング投資 - 日本マイクロソフト樋口氏

NECとは「Windows 98の時から寝食を共にした長い付き合い」とコメント

日本マイクロソフトの代表執行役社長 樋口氏は、スマートフォンやタブレットなどの「スマートデバイス」によりタッチUIが広がりつつある背景に触れ、「非常に大きな変化点にいる。オンとオフがあるが、生産的な活動(オン)ではタッチだけでは不便。マウスやキーボードを使いPCをフルに使う必要があり、『LaVie Y』はそれを解決できるPC」と祝辞を述べた。

また、10月26日に発表を控えている時期OS「Windows 8」について、「最大規模のマーケティング投資を来週から投入し、全社を挙げて年末商戦に向かっていく。スマートデバイスは新興国が台頭してきているが、ぜひメイド・イン・ジャパンを盛り上げて行きたい」と意気込みを語った。

なお、同社PC秋冬新製品は、Tegra 3搭載のWindows RT版タブレット「LaVie Y」や、Windows 8搭載の軽量Ultrabook「LaVie Z」など、10シリーズ21機種をラインナップ。全モデルにWindows 8を搭載し、タッチ液晶を搭載したモデルが加わっている。

「LaVie L」シリーズ。タッチ液晶を備えている

「VALUESTAR N」。フルフラット液晶やフレーム足のデザインが変わっている

「LaVie S」シリーズのとことんサポートPC

"タッチオールスターズ"の「LaVie L」と「VALUESTAR N」

デスクトップ最上位の「VALUESTAR W」。タッチパッドリモコンを同梱する

タッチパッドリモコン。右左クリックボタンや、リモコン・タッチパッド切り替えボタンを搭載

シンプルノートPC「LaVie E」。夏モデルは14型だったが、秋冬モデルでは15.6型となった

タッチパッドリモコンを手にしたところ

マウスもWindows 8対応に。チャームなどWindows 8に搭載する機能をマウスボタンに割り当てられる

取材写真スライドショーはこちらから→