先日のiPhone 5発売開始に伴い、国内の携帯電話市場も一段と活気が増したように感じられる。本稿ではスマートフォンの販売台数がどのように伸張してきたか、簡単に振り返ってみたい。なお、本文中の数字は国内外の複数の調査会社が公開している統計調査の結果を参考に傾向をまとめたものである。

2010年6月、ソフトバンクはiPhone 4を発売開始した

国内市場におけるスマートフォンの出荷台数は、矢野経済研究所の調査結果によると、スマートフォンの黎明期だった2007年にはわずか「94万台」に過ぎなかった。ウィルコムが「W-ZERO3 WS011SH」(シャープ製)を、ソフトバンクが「X01T」(東芝製)を販売していた時期にあたる。しかしソフトバンクが「iPhone 3G」(アップル製)を投入した2008年には、前年比68%増の「158万台」の出荷台数を記録。そして「iPhone 3GS」が登場した2009年には「207万台」に到達している。この頃、スマートフォンのプラットフォームと言えばiOS、Windows Mobileなどが主流だった。

2010年、iPhone 4の登場により日本でもiPhone人気が不動のものになった。一方で、同年4月にNTTドコモが投入した「Xperia SO-01B」(ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ製)は、その後のAndroid端末の爆発的な人気を誘発するものとなった。この年の暮れ、ドコモは「GALAXY S SC-02B」(サムスン電子製)、「REGZA Phone T-01C」(東芝製)などを、KDDIは「IS03」(シャープ製)などを、ソフトバンクは「HTC Desire HD 001HT」(htc製)などを市場に投入している。3大キャリアのAndroidスマートフォンが出揃い、文字通り「スマートフォン元年」となった2010年。年度末には、スマートフォンの出荷台数は「1,000万台」にまで迫った。

2010年は3キャリアのAndroidスマートフォンが出揃うスマートフォン元年となった

2011年度になると、スマートフォンの出荷台数は前年度の2.7倍となる「2,340万台」を記録。携帯電話の総出荷台数の実に55%強を占め、初めてフィーチャーフォンの出荷台数を追い抜いた(以上の数値は、MM総研の調査結果に基づく。この年は「iPhone 4S」の発売に伴い、KDDIでもiPhoneを取り扱うようになったことが話題に上った。また「新語・流行語」のTop10に「スマホ」が入るなど、消費者の間にスマートフォンが浸透したことを感じる1年間だった。

今後、携帯電話市場に占めるスマートフォンの割合はさらに大きくなっていくものと予測されている。MM総研によれば、2012年度以降のスマートフォン出荷台数(携帯電話の総出荷台数に占めるスマートフォンの比率)は、2012年度で「2,790万台」(68.7%)、2013年度で「3,080万台」(75.1%)、2014年度で「3,340万台」(79.3%)、2015年度で「3,355万台」(81.9%)、2016年度で「3,555万台」(83.4%)と推移し、スマートフォンの普及が着々と進んでいくという。

2011年度には、スマートフォンの出荷台数がフィーチャーフォンの出荷台数を超えた。今後、この傾向はさらに顕著になると予測されている

コムスコア・ジャパンでは、スマートフォンのOSの違いによるシェアの比率を報告している。同社が公表したデータによると、日本国内におけるiOS、Android端末のユーザー数は2010年9月の時点でiOS 3,347 / Android 841(単位:千人)だったが、2010年12月にはiOS 3,787 / Android 2,174となり、2011年3月に至ってiOS 3,906 / Android 4,601とシェアが逆転したという。その後2011年11月ではiOS 33% / Android 61%、2012年6月ではiOS 32.3% / Android 64.1%と、少しずつその差が開きつつある。

日本国内におけるスマートフォンユーザーのOS別シェアの変遷(コムスコア・ジャパンのデータを元に作成)。参考資料:1 参考資料:2

最後に、海外での統計結果を紹介する。スマートフォンの隆盛は、今日では世界的な傾向となっている。海外の調査会社ガートナーの統計によれば、グローバルにおけるスマートフォンの販売総数は2009年第2四半期には「4,097万台」ほどだったが、2010年に「5,450万台」から一気に1億台超へ推移したようだ。その後も増え続け、2012年第2四半期には「1億5,368万台」を記録している。海外市場で注目したいのは、OSの違いによるシェアの比率。

海外におけるスマートフォンユーザーのOS別シェアの変遷(ガートナーのデータを元に作成)。時期はいずれも第2四半期。参考資料:1 参考資料:2 参考資料:3

日本の国内事情とは少し異なり、通年でiOSのシェアは20%前後にとどまっている。2012年第2四半期の時点でAndroidのシェアは64.1%、iOSは18.8%、ノキア社のSymbianが5.9%、RIM社のBlackBerryが5.2%。その後をBadaとMicrosoftが2.7%ずつで追っている。