9月27日から28日かけて、マイクロソフトの最新テクノロジや新製品、新サービス等を紹介するイベント「The Microsoft Conference 2012」が東京のホテルで開催された。
初日となる27日は、日本マイクロソフト 代表執行役 社長である樋口泰行氏の登壇で開始。Vision Keynoteとして「今、求められる経営改革と情報基盤 ~グローバル+スピード+ダイナミズム~」というタイトルで講演を行った。
話題の中心となったのは、10月に発売を控えるWindows 8および、新たなサーバOSであるWindows Server 2012、そして次期Officeの3つだ。
「社内で各国ごとに競争をしていて、日本は先進国というグループの中にいる。4年前はその中で最下位だったが、昨年と一昨年の2年連続で社内表彰され最優秀国とされた」と日本市場での成功をアピールした樋口氏は、5年前の就任以来、社内に徹底してきたというスローガンも公開。日本において尊敬、信用される企業となることを目指してきたと語った。
最近の日本市場の動きとしては、特に震災以降にコスト削減と事業継続性を重視するマインドが高まっているが、それだけでは発展性がないと指摘。非活性化状態にある日本企業が活性化するためには、ITによる活性化の促進を行うべきだと語った。
具体的な「攻めのIT活用」のために活用できるツールとして紹介されたのは、Microsoft Lyncだ。
「今メールを使うとホワイトカラーの生産性が上がるのかと問う経営者はいない。それはメールはもう当たり前のものだから。いずれLyncもそうなると思っている」と樋口氏。
また同氏は、今はまさにITが変化している新時代であるとして、モバイルをはじめとする各種デバイスの進化とソーシャルの浸透によるコンシューマーのデジタル化、クラウドやビッグデータによるバックエンドの奥行きに加えて、ジェスチャーや音声認識、マシンラーニングといったものがデバイスの進化に伴って実用レベルになってきたと指摘。
「マイクロソフトはこの3つの項目をすべて提供しており、コンシューマー向けと法人向けの両方を扱っている。ビジネスとしてのやり方は違うが、コンシューマーと法人向けの境はなくなってきている。シームレスに提供できる企業だと自負している」と語った。
そして、日本マイクロソフト テクニカルソリューションエバンジェリストの西脇資哲氏は、モーションセンサーの活用事例として、Kinectを採用した事例を複数紹介。東京女子医大脳神経外科のインテリジェント手術室において採用された手術中に手をかざすだけで画面の切り替えや移動ができる様子や、東急表参道店HUMOR SHOPでのバーチャル試着への採用などが動画で紹介された。
試着の様子や、飲料水販売時の顧客行動をトレースする様子は会場でデモンストレーションされ、ゲーム生まれのセンサーがビジネスシーンで活躍できることを紹介。
「POSでは買ったことしかわからず、1つ1つの動きをみようとするとICタグの個別貼り付けなどが必要だった。これはコストも手間もかかる。Kinectを利用するとどの商品を手にとって戻した後に何を買ったのか、何色のアイテムをどれくらいの時間試着したのかまで簡単にわかる」と西脇氏は語った。
また、次世代Officeに含まれるExcelに含まれる分析機能についても、Kinectから取得したデータを利用して解説。什器の写真や人型の図を基準にデータをマッピングし、数値の多寡を色で表現できる機能が加わったことで、簡単にデータの視覚的な分析ができるようになった。さらにこのデータをブラウザ上で分析してグラフィカルなデータを作成したり、在宅勤務をしている同僚とリアルタイムに相互編集をしながらミーティングするなど、SharePointやLyncの活用例も紹介した。
さらに、作成したデータをWindows Phoneで閲覧するだけでなく、外出先でPC作業をしたくなった場合への対応として、USBメモリからWindows 8を起動してその場にあるPCを自分のPCとして利用可能にする「User Experience Virtuliziation(UE-V)」も紹介。これは現在β版を公開中で、次期MDOPでリリース予定されている機能だ。
「製品の機能ではなく、機能からみなさんがどういう価値を見いだすのかということがポイント。Kinectがモーションセンサーだということではなく、モーションセンサーにどういう価値があるのかを感じて欲しい。そして豊富に持っているビジネスのアイデアや想像でその価値を最大化し、スマートなワークスタイルに活用していただきたい」と西脇氏は語った。