"ロボット家電"と称される新たな製品カテゴリーで、シャープが6月に発売した「COCOROBO(ココロボ)」。自走型のいわゆる"ロボット掃除機"だが、その代表格である米アイロボットの「ルンバ」をはじめ、他メーカーとの相違点は、音声認識機能のある人工知能を備えたコミュニケーション能力のある点だ。
シャープがロボット掃除機とは称さず、ロボット家電と銘打った点には、単なる掃除機ではないという違いを大いに打ち出したかったからであろう。このように、メーカーが新たな白物家電のカテゴリーの一製品と位置付けて販売する商品を試用した感想をまとめてみる(COCOROBO発表時のニュース記事はこちら)。
まずは自走式掃除機としての機能。本体裏面に左右2本のサイドブラシを備え、これで部屋の隅や家具の脚元から掻き出したゴミを吸引するというのは、他のロボット掃除機と同じ仕組み。これまで、他の自走式掃除機を使ってみて感じたのは、このブラシは本数や付けられている位置よりも、刷毛の部分にあたる長さと柔軟性が重要だという点。
つまり、刷毛が短いと隅の部分に十分に届かず、逆に長すぎても刷毛が柔軟に掻き出したい部分に潜り込まなければ、しっかりとゴミを掻き出せない。そういう意味では、本製品のブラシはやや短く、場所によっては足が届かない可能性もあるかもといった懸念が残る。
エッジブラシで掻き出したゴミは、次段階として本体中央のいわゆるスクリューブラシに巻き込まれ、本体内部のダストカップに吸い込まれる。この部分は、人の手で掃除するキャニスター型や縦型クリーナーでいうところの、ヘッド部分にある回転ブラシと同じで、本製品では掻き込み用の硬めのブラシと、床面との滑りをよくする柔らかい起毛のブラシからなる構造。見た目も性能も、手動式掃除機の中位機種程度で使われている部品と同等との印象を受けた。
一方、自走式掃除機で必須とされる機能には、障害物を避けるためのセンサーだ。本製品では本体の前方3ヶ所に超音波センサーを搭載。現在の自走式ロボットは赤外線による障害物の検知が主流だが、本製品では物体との距離を測定しながら障害物を検知するので、赤外線では検知しにくいガラスのような透明な物体や黒い物体でも認識できるのが特徴だ。本製品では赤外線センサーや落下防止センサーを備え、障害物への衝突は比較的緩やかで段差にも強いと感じた。
そのほか、掃除機として優れていると感じた点は、メンテナンスのしやすさだ。吸引したゴミを留めておくダストカップには"HEPAフィルター"と呼ばれる、0.3μm以上のホコリを99.9%以上逃さないことが工業規格的にも認められている高性能なフィルターを採用し、クリーンな排気を保つ。フタを開けて持ち手で引き出してワンタッチで手を汚さずにゴミが捨てられ、水洗いもできる手軽さは、さすがは長年掃除機を作ってきたメーカーだと感じた。メンテナンス用のミニブラシがダストカップに据え付けられている点も細かな配慮だが、気が利いている。抗菌・脱臭効果があると謳うシャープのお家芸「プラズマクラスター」発生機能まで備えているのはさすがだ。
本体操作部。タッチ式の5つのボタンで、初期設定やタイマー設定、基本動作を操作する。無線LANルーターと同期している場合には、右上のランプが灯る |
本体上面の"…"のマークあたりを軽く押すとダストカップが格納されている部分が開く。カバーが付いているので、取り外す時にゴミがこぼれる心配はない |
ダストカップは上部の取っ手を引き上げて引っ張り出すだけで簡単に取り外せる |
ダストカップには、排気用にHEPAフィルターを採用。空気清浄機にも使用されている目の細かなフィルターで、排気の際に捕集したゴミやホコリを再び外に出さない |
充電台。しっかりとした台座で、充電台に戻ってきた本体の力で動かしてしまうということもほとんどない |
充電台の中にはACアダプターが格納できるように設計されている。充電台と一体化することにより、スッキリと極力邪魔にならずに設置できる |
充電中の本体。リモコンの収納用に充電台の上部にくぼみが用意されているのも心憎い気遣いだ |
動画(クリックすると別ウィンドウで開きます) | ||
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