進む「ネットワークサービスとの融合」

アプリが独自の機能やサービスを提供する"縦糸"だとするならば、それらを円滑に運用するためのプッシュ通知/通知センターなどの機構は"横軸"だといえる。そして、その横軸に磨きをかけることが、iOS 6の狙いのひとつなのだ。

TwitterにくわえてFacebookをOSレベルでサポートしたことは、そのひとつだ。アプリの共有ボタンから投稿の操作を開始できるほか、「連絡先」や「カレンダー」といった標準装備の個人情報管理系アプリと連携し、誕生日や各種イベントのデータを共有できるようになった。

たとえば、Facebookで友だちの誕生日は、「カレンダー」でも誕生日として表示される。Facebokで登録したイベントも、「カレンダー」に自動的に反映される。友だちと一致する名前が「連絡先」にある場合、メールアドレスや電話番号をFacebook連動させることができるので、それら個人情報に変更があった場合、「連絡先」のデータも自動的に変更されるようになるのだ。このような連携は、"横糸"として機能するだろう。

Facebookのイベントを「カレンダー」に表示するよう設定できる

一部のアプリは、共有ボタンをタップすると表示されるメニューがこのようなグラフィカルなものに変更された(画面は「Safari」)

画面上部のステータスバーを下方へフリックする「通知センター」も、やはり"横糸"だといえる。自分が関連する投稿(TwitterでいえばメンションとDM)があった場合、iOS 5の時点からプッシュ通知で知らせてくれる機能は用意されていたが、iOS 6ではTwitterとFacebookの投稿用ボタンが配置された。

TwitterとFacebookへの投稿は、アプリの共有ボタン経由でも実行できるが、一部のアプリでそのデザインがブラッシュアップされている。従来はシンプルにボタンが配置されるだけだったが、「写真」や「Safari」など標準装備のアプリで共有ボタンをタップすると、サービスのアイコンが並んだわかりやすいものへと改良されているのだ。

プッシュ通知/通知センターと共有ボタンにより各種ネットワークサービスへのアクセスを容易にする仕掛けは、後述するSiriでの対応も含め、iOS 6の性格を物語る材料となる。そのもっともわかりやすい事例が、TwitterとFacebookのサポートなのだ。……続きを読む

iOS 6の「通知センター」。TwitterとFacebookの投稿用ボタンを表示できる

Siriを利用し、音声でツイートを指示することもできる