米Googleは、同社が提供するGoogle Walletアプリを利用するユーザーに送信したメールの中で、「Google Prepaid Card」の利用を10月17日をもって停止すると発表した。これは、先日Google Walletアプリですべての種類のクレジット/デビットカードを登録できるようになったことを受けたもので、暫定運用として用意されたトップアップ(Top-Up)方式でチャージを行うPrepaid Cardの必要性が薄れたためとみられる。

Google Walletアプリは、NFC (Near Field Communications)に対応したスマートフォンを利用することで非接触決済が可能なサービス。クーポン情報やチケット情報などを含めアプリ内で一括管理する、いわゆる「ウォレット」と呼ばれる機能を提供する。決済機能の利用にあたってはクレジットカード情報の登録が必要になるが、1年前のローンチ直後のGoogle WalletではCitiの発行するMasterCardのみがサポートされ、それ以外のクレジットカードやデビットカードは利用できなかった。もし該当カード以外のユーザーがGoogle Walletを利用する場合、アプリ内で用意されたGoogle Prepaid Cardと呼ばれるカードに対し、自身のクレジットまたはデビットカードから20ドルや50ドルといった単位で"トップアップ(Top-Up)"を行い、このPrepaid Cardを決済手段として利用する必要があった。

ただし先日の改定で、Amex、Discover、MasterCard、Visaの4大カードであれば登録が可能になり、間接手段であるPrepaid Cardなしで直接Google Walletアプリの決済手段とすることができるようになった。ただし登録可能なカードは米国住所宛に発行されたものに限られ、利用に際しては社会保障番号(SSN)の入力が必須となっている。このため、米国外のユーザーがGoogle Walletアプリを利用することはできない。以前よりトップアップでは米国住所のクレジット/デビットカードが必要だったが、デビットカード(プリペイドカード)そのものはコンビニエンスストア等の店頭で購入が可能なため、利用にあたっての難易度は低かった。今後はよりシビアになるといえるかもしれない。

サービス停止のロードマップだが、まず9月17日にPrepaid Cardへのトップアップが不可能になり、10月17日をもってサービス終了で、Prepaid Cardにチャージされたデータとしての残高が消滅する。もしPrepaid Cardにチャージ残高が残っている場合、ユーザーは告知されてから1ヶ月ほどで金額を使い切らなければならない。一応、サービス終了時点での残高を返金するリファンドプログラムも用意されているが、返金に時間がかかるうえ、小切手のような形で処理されることになるとみられる。正式運用開始をもって暫定措置として用意されていたPrepaid Cardを廃止するというのは理にかなっているが、いささか急すぎる話にも感じる。

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