次世代iPhoneの液晶パネルサプライヤの1社に選定されたといわれているシャープだが、歩留まり問題から供給が滞っており、同社の業績ならびに次世代iPhoneの出荷に影響を与える可能性が指摘されている。米Wall Street Journal (WSJ)が8月31日(米国時間)に報じている。一方で残りのサプライヤであるジャパンディスプレイ(JDI)とLG Displayの2社はすでにパネル出荷を開始したとの報道が行われている。
先日、LG Displayが「インセル(In-Cell)」と呼ばれる方式のタッチセンサー一体型液晶パネルの出荷を開始したことを紹介した。LG Displayでは顧客について言及は避けたものの、このうちの1社はAppleであり、次世代iPhoneで利用されることになるとの見方が一般的だ。次世代iPhoneでの液晶パネル調達では、このLG Displayを含むJDI、シャープの3社が選定され、リスク分散ならびに商品の大量生産における部品の安定供給を行うことが主眼にあるとされている。特に今回iPhoneで初めて採用されたとみられているインセル方式の液晶パネルは視認性やコスト面のメリットがある反面、製造の難易度から歩留まり向上が厳しいとの指摘もあり、すでに出荷を開始したJDIとLG Displayはすでに製造における一定のハードルを越えたとみられている。一方で英Reutersによれば( http://www.reuters.com/article/2012/08/31/us-sharp-iphone-delay-idUSBRE87U08E20120831 )、シャープは8月2日に同技術の液晶パネルの大量生産と出荷を開始したと報告しているが、歩留まり関連でいまだ何らかの問題を抱えている可能性がある。
なお、シャープの液晶パネル出荷遅れがどの程度次世代iPhoneの出荷計画に影響を与えるかは未知数だ。リスク分散のために3社調達体制を整えたこともあり、これが致命的な問題にはならないとみられるが、一方で当初の需要を満たすだけでの製品供給は行えない可能性もあり、これが年内一杯での品不足感や、日本を含む海外ローンチの遅れにつながる指摘も行われている。