高島さん(61)。とうきゅう伊勢原店教室は「駅の近くなので通いやすい」という

パソコン教室「パソコン市民講座」とうきゅう伊勢原店教室に通う高島さんは、1951年生まれの61歳。今までは家族にパソコンを教えてもらっていたが、今年の4月からパソコン教室に通い始め、8月で4カ月目を迎える。

パソコンの主な用途はネットサーフィンや友達とのやり取りだが、旅行に行く際はホテル予約サイトを使いポイントも貯めるなど、高島さんはインターネットを活用した生活を送る。

「家でパソコンを使う時は、メールやインターネットがほとんど。友達と遊ぶ約束をしたり、後は相談事ですね。メールの方が口で言うより相談事がしやすい事もあって。『一休.com』で旅行の予約をする時もありますね。普通に予約するより安いから活用しています。ポイントを貯めているから、早く使わないと期限が切れてしまう(笑)」(高島さん)。

もともと家族に教えてもらっていたこともあり、高島さんは、電源を入れたりマウスを動かしたりといったパソコンの基本操作に問題はない。それでも教室に通い始めたのは「やること全てに自信がないから」。パソコンの使い方が全て自己流だからだという。授業に宿題は無いが「授業についていくのが精一杯」のため、テキストを見ながら教室で学習したことを家でも一人で復習する。

「やること全てがあやふやなんですね。Enterを押しても何かエラーが出たり、思っていたものと違う画面が出るとどうしていいかわからなくて、不安になります。一つ一つの動作を確実にできるようになりたくて、教室に通っています」(高島さん)。

「パソコン市民講座」とうきゅう伊勢原店教室長の加藤氏(写真奥)

「パソコン市民講座」とうきゅう伊勢原店教室長の加藤氏は、シニア層がパソコンを使うニーズについて「パソコンやスマートフォンは趣味というより"使えなくてはいけないもの"として捉えているのでは」と語る。

「シニア層の生徒さんと関わっていると、インフルエンザの予防接種など病院の検診をインターネットで予約するという人もいれば、地域のサークル活動で使う公民館の予約をネットで、という人もいます。仕事を退職して時間に余裕があって、じゃあ話に聞いていたパソコンを趣味で始めようか、というよりは、もっと実用的なツールとして使っている感じですね」(「パソコン市民教室」とうきゅう伊勢原店教室長 加藤氏)。

授業を受ける高島さん。今は電子メールの使い方や、フリーソフトのダウンロード方法などを勉強中

教室内の風景。とうきゅう伊勢原店教室で用意するPCは8台、インストラクターは1講座で1名~3名程度で授業を行う

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「らくらくパソコン4」を使う高島さん。SDカードや電源、USBの位置がわかりやすく、Fキーに用途が漢字で書いてあるのがわかりやすいという

「パソコン市民講座」は、日本パソコン普及協会が全国19県で展開する初心者向けのパソコン教室だ。直営店は約100教室、フランチャイズを含めると約130教室で、主に大型スーパーやショッピングセンターの中の一区画に教室を構える。直営店に各1台、富士通のシニア層向けノートPC「らくらくパソコン4」も導入し、必要に応じて販売も行っている。

これまで延べ約40万人以上の受講生・卒業生を輩出し、現在の受講者数は約10,000名。下は小学生から上は90歳くらいまでと幅広いが、特にシニア層や主婦層に支持されており、同教室ではシニア向けの特別クラスも開講している。受講生の感想では、「パソコンで孫とメールができた」「仲間向けのおたよりを作れるのが楽しい」などの声も寄せられている。

授業は個人のペースで進められるDVDでの学習のほか、対面による集合授業やイベントも実施。これに加え、同社では授業をサポートするWebサービス「プレミア倶楽部」を提供している。プレミア倶楽部の会員数は現在約7,000人。教室の受講生だけでなく、2,100円の月会費を払えば卒業した"元"受講者でも利用できることが特長だ。プレミア倶楽部では教室を卒業してもパソコンの操作を復習でき、教室や他の受講生とつながり続けることができる。今回はDVDで講師役を務める株式会社チアリーの教務部チーフ 鎌田氏に、シニア向けのパソコン教室運営について話を伺った。

教室に設置している看板と教室の外観。東急ストアの3Fの1区画に構えられたとうきゅう伊勢原店教室。「一人で来られる方が圧倒的に多いので、スーパーの中に教室を構え、食材を買うついでなど通いやすいよう」にしたという

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