モバイルペイメントのWalletサービスを巡って米Googleなどが、米大手キャリアのジョイントベンチャーであるISISなどが激しい競争を繰り広げている。この分野にニューカマーが到来した。

Wal-MartやTarget、7-Elevenなどの大手小売店らは8月15日(米国時間)、Merchant Customer Exchange (MCX)というジョイントベンチャーを設立したことを発表した。これはMCX参加企業らが独自のPayment Networkを構築するもので、先行するライバルらに対抗するものとなる。

複数の大手リテーラーが集まって共通のモバイルペイメントシステムを構築し、決済や各種特典を共通化することで、導入コストの削減のほか、携帯電話などを用いたモバイル決済を顧客が気軽に利用できるようプロモーションしていくことが狙いだとみられる。参加企業としては、7-Eleven、Alon、Best Buy、CVS/Pharmacy、Darden Restaurants、HMSHost、Hy-Vee、Lowe’s、Publix Super Markets、Sears、Shell、Sunoco、Target、Wal-Mart Storesなどの名前が挙がっている。具体的な展開時期や方法については不明だが、ストア間を横断する独自のPayment Networkを構築した後、Google WalletなどのようにNFC対応スマートフォンに専用アプリを提供することで、ユーザーが簡単に決済できる仕組みを提供していくと考えられる。時期についてもまだ初期の構想段階であり、正式ローンチはまだしばらく時間がかかりそうだ。

前述のように、モバイルペイメントの分野はいま最もホットであり、Googleのほか、AT&T/Verizon Wireless/T-Mobile USAのジョイントベンチャーであるISIS、そして新興勢力としてPayPalやSquareなどの名前も挙がってきている。従来のVisaやMasterCardといった事業者も本格展開を始めており、今後1~2年で特に米国において大きく情勢が変化していく可能性がある。店舗での利用においては「クーポン」や「ポイントカード」などの存在が重要になるが、MCXでは商店主らが自らサービス提供へと乗り出したことで、業界の台風の目となる可能性を秘めている。一方で展開に苦戦するGoogleも、先日にはGoogle Walletですべての種類のクレジット/デビットカードが利用可能になるなど、着実に進化を続けている。今秋にはISISの本番ローンチが控えており、今年末から来年にかけては非常に賑やかになりそうだ。

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