「XPS 15z」が発表された当時から、Appleの「MacBook Pro」に似ているという声があった。今回発表された「XPS 15」もやはりデザイン面で、「MacBook Pro」と共通する部分はある。さらに2012年5月に発表されたオールインワンデスクトップ「XPS One 27」も「iMac」と比較されることが多いようだ。
「似ているといわれることは自覚している」と秋島氏はいう。「デザイン面などかなりの部分で似ているが、ターゲットとなるユーザーは対極。そういった姿を『XPS』シリーズでは非常に意識している。よくそっくりとか、真似しているといわれるが、実のところそういわれるのは本意」(秋島氏)。
秋島氏によると、Apple製品を使うメインのユーザーは、デザイナーやWeb系のエンジニアなどのクリエイターや、クリエイティブでありたい人で、「XPS」シリーズは、その対極ユーザーとして、「メインストリームで活躍するビジネスパーソン」をターゲットとしているという
「これから先の製品で、違いをもう少し出して訴えていきたいが、いまの段階では、似ているや真似しているというように、ユーザーから比べられる存在でありたい」(秋島氏)。
ストレスを取り去ってタブレットに勝つ
現在のPC市場はUltrabookのように話題の製品が登場する一方で、スマートフォンやタブレットの勢いに押されているように見える。秋島氏はその原因を「ストレス」だと分析する。
「起動が遅かったり、持ち運びがしにくかったり、現状のPCを使うことにストレスを感じている人が多い。だからタブレットやスマートフォンに滞在時間をとられてしまっている」(秋島氏)。
NTTアドの調査によると、タブレット端末を外に持ち出して使用するケースはさほど多くなく、リビングや寝室で使うケースが大半となっている。つまり、タブレットユーザーの多くは、家の中ですぐに手軽に使える端末としてタブレットを利用している。
「キーボードなど入力面での使いやすさなど、いい部分があるにもかかわらず、PCの利用にストレスを感じる部分があるからタブレットを使うのであれば、ストレスを解き放つ方向に持っていきたい。タッチによる感覚的な使い方も視野に入れつつ、PCの良さを最大限生かせる製品で接触時間をとっていく」(秋島氏)。
「XPS」と「Inspiron」の今後とWindows 8
「XPS」シリーズと「Inspiron」シリーズの今後についても聞いた。まず「Inspiron」シリーズについては、「ラインナップは大きく変わることはない」と秋島氏。ただ、コンセプトである「楽しむ」を軸に、プロダクトのよさや安心さといった製品の見せ方を変えていく予定だ。
一方「XPS」シリーズに関しては、「接触時間を増やすという目標から考えると、製品のラインナップとしてはもう少しあると思う」と更なる製品の展開にも含みを持たせた。
7月19日、米Microsoftは10月26日にWindows 8の一般販売を開始すると発表した(記事詳細)。Windows 8はコンシューマPCに対してどのような影響を与えるのだろうか。
秋島氏は「14型や15型のディスプレイと光学ドライブを搭載した、いわゆるメインストリームのPCではそれほど大きく変わらないと考えている」と話す。その上で、Ultrabookに代表されるメインストリームから少し外れた周辺の市場が拡大していくと予想する。
「Windows 8ではMetro&Touchでユーザーエクスペリエンスが変わる。デルとしてもWindows 8では、また違った仕掛けやWindows 8に向けた製品を考えている」(秋島氏)。
「XPS」と「Inspiron」、それぞれのシリーズが刷新されたばかりだが、今回の位置付けの整理を受けて、次にどんな手を打ってくるのか、早くも今後の製品展開が気になるところだ。また、Windows 8に向けてどんな製品を登場してくるのかも楽しみであり、これからの同社の製品に引き続き注目したい。