米Microsoftは7月9日(現地時間)、マルチタッチ技術と製品の開発で知られる米Perceptive Pixel Inc.(PPI)の買収で合意したと発表した。金額などの詳細は明かされていない。PPIの製品は80型以上の大型ディスプレイを用いたマルチタッチ対応コラボレーション端末が知られ、2006年のTEDにおけるデモや2008年米大統領選挙でのCNNでの選挙速報での活用で広くアピールされるなど、若い会社ながら比較的知名度の高い存在といえる。

Perceptive Pixelは、マルチタッチ技術やヒューマンインターフェイスの研究で知られていたJeff Han氏によって2006年に設立された米ニューヨークを拠点とする企業。マルチタッチ関連には以前よりAppleが力を入れていたことが知られているが、この分野の研究における第一人者の1人として知られていたHan氏の企業がこのタイミングでMicrosoftによって買収されたということが意味するのは、Microsoftがそれだけマルチタッチ技術に本気であり、今後新インターフェイスの研究開発を本格的に進めていく意志の表れだとみられる。

同氏のプロフィールについてはWikipediaの記事が詳しい。また、彼の研究については、ニューヨーク大学(NYU)のWebサイトに掲載されているMulti-Touch Interaction Researchの研究報告を参照するといいだろう。特に前者のWikipediaは関連ページへのリンクが多いため参考になる。

Perceptive Pixelの82インチマルチタッチ対応ディスプレイ

Perceptive Pixelはまだ若いスタートアップながら、その成果が広く宣伝されており、比較的著名だ。2006年2月のTEDで同社の技術デモが紹介されたほか、2008年の米大統領選挙でCNNが選挙速報を伝えるために同社製品を活用したことが知られている。もともとは軍事用途向けにソフトウェアを開発していた部分もあり、同社の製品ラインナップはこうした用途を反映したものになっている。具体的にはマルチタッチに対応した27/55/82インチのディスプレイ製品と、同ディスプレイと組み合わせて正確なタッチ入力を行う専用スタイラス「Active Stylus」がハードウェアとして提供される。これにビジュアルプレゼンテーション処理のStoryboardやCNNの選挙速報で用いられたアプリケーション、自身が利用するアプリケーションをマルチタッチUI対応にする専用APIやカスタムソリューション、これらを動作させるためのワークステーションを組み合わせ、ユーザーごとにカスタマイズされたソリューションが提供されている。技術デモについては、下記のYouTubeの動画を参照するといいだろう。これは2006年に技術が初公開された当時のものだ。