ビデオパスは、サービス開始時点で3,000番組程度を提供するビデオ配信サービス。Androidスマートフォンに対応し、月額590円で映画が見放題となる。洋画・邦画、アニメ、ドラマ、韓流、エンターテインメント、オリジナル作品など、さまざまなジャンルの映像作品を用意するほか、従来は提供されにくかった新作映画や人気作品も、作品単位で追加料金を支払って視聴できるようにした。
3G回線、無線LAN/WiMAXで画質を自動的に変えて最適な映像を表示することで、ネットワークの負荷も軽減しながら、いつでもどこでも映画が見られる環境を実現。サービス開始当初はスマートフォン向けに提供するが、マルチデバイス対応も進め、まずは6月上旬にPCでの視聴に対応する。7月下旬には同社タブレット、さらに今夏にもトライアルを開始するAndroid 4.0搭載セットトップボックス(STB)「Smart TV Box」にも対応する。スマートフォンとテレビをHDMIケーブルで接続すれば、テレビの大画面に出力して視聴することも可能だ。
月額590円には、最新作品が1本見られる権利も付与。他社サービスと比べて「圧倒的に安い」と高橋専務は説明する。また、今後は 邦画やアニメを充実させる方針だという。この価格・サービスはCATVのJ:COMを傘下に置くなど、同社が「いろいろなコンテンツホルダーとお付き合いがある」(高橋専務)ことで実現したサービスだとしている。
また、同社は米Facebookとの連携を発表しているが、「やっと両社でいろいろやっていくという成果が外に出せた」(田中社長)というFacebook連携機能も用意。「うたパスとビデオパスはFacebookとの相性が抜群」(高橋専務)であり、音楽やビデオの視聴開始時に投稿する機能も設ける。高橋専務は、音楽ストリーミングサービスの米Spotifyに相当するのがLISMO Unlimitedであり、同じく音楽配信サービスの米Pandoraに相当するサービスがうたパスとFacebookの連携だと説明。「新しいエンターテインメントの視聴のあり方に挑戦したい」と高橋専務は説明する。
同社調査によれば、アプリは暇つぶしでよく使われるが、76%のユーザーが音楽と映像は自分の時間を充実させるものだと考えているという。音楽に関しては、好きなジャンルを聴きたい、聴きたいときにすぐ聴きたいといった視聴ニーズがあり、「新しい楽曲と巡り会いたい」人は45%、「自分がいいと思った楽曲を友人に教えたい」という人が33%おり、映画も同様の傾向があったという。田中社長は、こうしたユーザーのウォンツに応えたサービスを提供し、新しい視聴スタイルを実現したい考えだ。
新しい時代のスマートフォンを目指すKDDI
今回の新サービスは、2つともAndroid向けであり、iPhoneやWindows Phoneのようなほかのプラットフォームには対応しない。iPhone向けにはLISMO Unlimitedを提供しており、auだけでなくソフトバンクのiPhoneでも利用可能になっていることから、田中社長は今回のサービスも拡大する考えだ。
このほか、スマートフォンの進展でグローバルモデルをそのまま投入できるようになったものの、「それでは満足できない」と田中社長。今回の発表会とは別に4月に発表された2012年夏モデル「HTC J ISW13HT」を紹介し、「日本の機能のいいところとグローバルフォンのいいところを足した端末」だと述べた。
同社は今後、スマートパスポート構想をサポートする端末と、グローバルモデルを柔軟にそろえていく方針だ。「去年までの、(スマートフォンの)ラインナップの数をそろえていくところから、次の時代になり、新しい時代はこういうもの、というものを作っていかなければならない」と田中社長。「うたパス」に盛り込んだ、自分の嗜好に合わせてチャンネルがカスタマイズされる機能を引き合いに出し、「あんな世界が必要なのではないか」と、今後の戦略の一端を示唆した。
(記事提供: AndroWire編集部)