国立天文台は4月3日、オーストラリアの研究者を中心とする研究チームが、すばる望遠鏡を用いて長方形の形状を示す銀河「LEDA 074886」(画像)の撮影に成功したと発表した。成果は、スウィンバーン工科大学のアリスター・グラーム氏をはじめとする研究グループによるもので、研究の詳細な内容は5月1日発行の「Astro Physical Journal」に掲載される予定。

LEDA 074886 の擬似カラー画像。中心部のコントラストは、内側の円盤構造が引き立つように調整されている。リー・スピットラー氏(スウィンバーン工科大学)による合成

銀河と聞いて想像する形は、渦巻き円盤型や楕円型、あるいは不規則型だ。実際、我々の天の川銀河の近傍に存在するほとんどの銀河はそのような形をしている。しかし、今回写し出されたLEDA 074886は、まるでエメラルドカットを施したダイヤモンドのような長方形だ。思わず発見したグラーム氏も、その時は笑ってしまうほど驚いたという。

「長方形銀河」が見つかったのは、研究チームがすばる望遠鏡に搭載された「Suprime-Cam」を用いて、銀河「NGC 1407」(エリダヌス座の方向、距離7000万光年)の周囲の球状星団を探査していた時のことである。LEDA 074886は天の川銀河に比べて50分の1ほどしか星がない矮小銀河であるため、これまでその不思議な形が気づかれていなかったようだ。

LEDA 074886の形について研究チームは、厚みのある円盤状の銀河を横方向から見ているために長方形に見えているのではないか、と考えているという。研究チームのダンカン・フォーブス氏(スウィンバーン工科大学)によれば、LEDA 074886は2つの渦巻き銀河の衝突でできた可能性があるとしている。

衝突する銀河の中に元々あった星々が長方形の対角線状にまき散らされた一方で、ガスは中央面に沈みそこで新たに星が作られたことで、結果としてこのような形になったのではないかという

グラーム氏は、さまざまな銀河の進化を理解する上では、星生成を伴う場合の進化と伴わない場合の進化、両方のシミュレーションで得られた知見を組み合わせて考えることが大事だと、今回の発見の意義を語っている。