ソニーは23日、液晶テレビ「BRAVIA(ブラビア)」の2012年春モデルを発表した。春モデルで新しく加わるラインナップは、「HX850」「HX750」「EX550」「EX540」「HX65R」の5シリーズ。「HX850」「HX750」「HX65R」の各シリーズは3D対応・フルHDのモデルで、「EX540」シリーズと「EX550」シリーズは2D専用・WXGA解像度のモデルだ。また「HX65R」シリーズはHDDとBDドライブを内蔵するオールインワンタイプとなっている。

2012年春モデルの中心的モデル「HX850」シリーズ

現行のラインナップのうち、「HX920」シリーズは、11月に発売した「KDL-65HX920」のみ、「NX720」シリーズと「EX720」シリーズは、40V型のモデルのみ、継続販売される。

これにより、現行モデルでは12シリーズ39モデルあるラインナップは、2012年春モデルでは、8シリーズ・17モデルへと絞り込まれることになる。同社は、大型テレビが2012年のトレンドと予測しており、中・小型モデルは思い切ってラインナップから外したとのことだ。

2012年春モデル全体の特徴は、ネットワークサービスがより使いやすくなっている点だ。従来のブラビアでは、「〈ブラビア〉ネットチャンネル」と呼ばれる、動画を中心としたサービスのメニュー、「アプリキャスト」と呼ばれるウィジェット、Skypeなど単独で起動するその他のアプリケーションのような、ネットワークサービスを利用する場合に、複数のメニューから利用したいサービスを選択する必要があった。

すべてのネットサービスを「ソニーエンターテインメントネットワーク(SEN)ポータル」から利用可能になった

ショッピングなどのコンテンツも充実

2012年春モデルでは、これらを「ソニーエンターテインメントネットワーク(SEN)ポータル」に統合。すべてのネットワークサービスを同じメニューから使用することができるようになった。利用できるサービスの種類も、クラウドサービス、ショッピング、ネット動画を中心に増やされている。メニューの項目は約170種類と非常に多くなった。もちろん、よく使用するサービスは「お気に入り」に登録することで素早く呼び出すことが可能だ(8種類まで登録可能)。

ネット動画をキレイな画質で観賞できる「HX850」シリーズ

2012年春モデルの最上位機種が「HX850」シリーズだ。2011年モデルからブラビアの上位モデルに採用されている「X-Reality Pro」は、データベース型複数枚超解像処理を特徴とする映像エンジンで、ネット動画などの低解像度の映像ほど、高い効果を発揮する。同社では、2012年春モデルの画質的な特徴を、"ネット動画をキレイに見られるスマートな高画質"と謳う。このことからも「HX850」シリーズは、シリーズの中核となる製品だといえる。また、2012年版のX-Reality Proでは、3Dモード時の処理をリファイン。立体感を保ったまま、奥にある物のクリアさをアップすることに成功している。

データベース型複数枚超解像処理により、低解像度な映像もクリアに表示する「HX850」シリーズ

専用オプションのサウンドバーを装備したところ。テレビの下のスタンドのように見える部分がスピーカーだ

パネルは、「オプティコントラストパネル」を採用。液晶面と表面ガラスの間に空気層がなく、その代わりに特殊な樹脂層とすることで、表面での反射や写り込みを抑えクリアな映像を実現するというものだ。パネルの駆動速度は240Hz(4倍速)で、それにバックライトコントロールを加えることて960Hz相当とした「Motionflow XR960」を採用。より高い動画性能を実現している。また、バックライトコントロールと4倍速処理を連動させたインパルスモードも搭載。同モードには、等倍速で動いているときだけでなく、動き出しのブレが少ないといった特徴があり、動きのスムーズさは減少するが、より動画ブレの少ない映像を実現する。

バックライトは、分割制御されるエッジ配置のLEDだ。このLEDとパネルの制御による省電力機能「ECOパネル制御」も取り入れられている。バックライトコントロールによる省電力機構は、一般的にはシーンの内容や部屋の明るさに応じてバックライトの明るさを減らすことで消費電力を抑えるというもの。

これに対してECOパネル制御では、パネルの開口度のコントロールも行われる。つまり、暗いシーンでバックライトの明るさを落とすだけでなく、通常の明るさのシーンでもパネルの開口度を上げてバックライトの明るさを落とすことで省電力効果を得るというものだ。ECOパネル制御は大画面になるほど効果的で、55V型では2011年モデルに比べて十数%の省電力効果が期待できるとのことだ。

チューナーは、地上/BS/110度CSデジタル×2基を搭載。USB接続タイプの外付けHDDへの録画機能も装備する。無線LAN機能も内蔵されており、配線の手間も少なくなっている。

通常のリモコンと同じような形状だが、電波式で使いやすい「新・電波リモコン」。右側のBDレコーダーのリモコンと比べると、サイズも小さい

サウンドバーを使用すると、背面のサブウーファーが利用され、2.1chサウンドを実現する

付属のリモコンは、「新・無線リモコン」。テレビの方向を意識することなく使用することが可能だ。

また、オプションとして、専用のサウンドバー「SU-B553S」「SU-B463S」「SU-B403S」も用意されている。専用サウンドバーは、スタンド一体型のスピーカーで、出力20Wのアンプが内蔵されている。スピーカー自体は2chだが、専用サウンドバー使用時には、ブラビア本体に搭載されているサブウーファーが利用され、2.1chとして動作する。

HX850シリーズのラインナップは、「KDL-55HX850」「KDL-46HX850」「KDL-40HX850」の3モデル。発売は5月25日で、価格はオープン。市場価格は、KDL-55HX850が30万円前後、KDL-46HX850が23万円前後、KDL-40HX850が16万円前後と見られる。専用サウンドバーも5月25日発売で、価格はオープン。推定市場価格は、SU-B553Sが2万円前後、SU-B463SとSU-B403Sが1万8,000円前後となっている。

4倍速パネルを採用する「HX750」シリーズ

「HX750」シリーズは4倍速パネルを採用し、「HX850」シリーズに次ぐ動画性能を実現している。バックライトコントロールと組みわせて480Hz相当の動画表示能力を実現する「Motionflow XR480」も採用されている。HX850と同用にインパルスモードもサポートしている。バックライトはエッジ配置のLEDだ。映像エンジンは「X-Reality」を採用している。

4倍速パネルで「Motionflow XR240」を採用する「HX750」シリーズ

「HX850」シリーズと同様、ECOパネル制御も採用されているほか、無線LANの内蔵やWチューナー、新・無線リモコンも採用されている。チューナーは地上/BS/110度CSデジタル×2基で、USB接続タイプの外付けHDDへの録画機能も装備する。

「HX750」シリーズのラインナップは、「KDL-55HX750」「KDL-46HX750」「KDL-40HX750」「KDL-32HX750」の4モデル。発売は55V型のみ4月20日で、他は5月25日。価格はオープンで、推定市場価格は、KDL-55HX750が27万円前後、KDL-46HX750が20万円前後、KDL-40HX750が13万円前後、KDL-32HX750が10万円前後となっている。

HDDとBDドライブを内蔵するオールインワンモデル「HX56R」シリーズ

HDDとBDドライブの両方を内蔵したオールインワンモデルが「XR65R」シリーズだ。内蔵HDDの容量は500GBで、USB接続タイプの外付けHDDへの録画にも対応する。搭載しているチューナーは地上/BS/110度CSデジタル×2基で、2番組の同時録画が可能なほか、録画機能搭載テレビとしては珍しく、外部入力からの録画にも対応している。なお、レコーダー側には超解像度処理を行う「CREAS 4」が採用されている

オールインワンタイプの「HX65R」シリーズ

「ソニールームリンク」(DLNA)のプレーヤー機能だけでなくサーバー機能も装備されており、「HX65R」シリーズで録画した番組を、ネットワーク経由で、ほかのブラビアなどから視聴することが可能だ。また、ソニールームリンクサーバーの新たな機能として、録画した番組のソニータブレットでの視聴と、放送中の番組の配信が追加される予定だ。

パネルは倍速駆動で、バックライト制御を組み合わせた「Motionflow XR240」が採用されている。バックライトはエッジ配置のLEDだ。

「HX65R」シリーズのラインアップは、「KDL-46HX65R」「KDL-40HX65R」「KDL-32HX65R」の3モデルで、発売は4月20日。価格はオープンで、推定市場価格はKDL-46HX65Rが23万円円前後、KDL-40HX65Rが16万円前後、KDL-32HX65Rが14万円前後となっている。

2D専用のスタンダードモデル「EX550」「EX550」シリーズ

2D専用のスタンダードモデルとしてラインナップされているのが「EX550」「EX540」シリーズだ。EX550シリーズは通常のデスクスタンドを採用するスタイルで、「EX540」シリーズはイーゼルスタンドを採用するスタイルとなっている。

デスクスタンドを装備する「EX550」シリーズ

イーゼルスタンドを装備する「EX540」シリーズ

いずれも映像エンジンはX-Reality。エッジ配置のLEDバックライトを採用している。USB接続タイプの外付けHDDへの録画機能は搭載しているが、チューナーはシングルだ。なお、リモコンは、「新・無線リモコン」となっている。

「EX550」「EX430」シリーズのラインナップは、「KDL-32EX550」「KDL-26EX540」「KDL-22EX540」の3モデル。KDL-22EX540には、ブラックとホワイトの2色が用意される。発売は4月20日で価格はオープン。推定市場価格は、KDL-32EX550が7万円前後、KDL-26EX540が6万5,000円前後、KDL-22EX540が5万円前後となっている。


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