ストックフォトで売上を伸ばすノウハウとは?

iStockphotoは、これからストックフォトを始めたい人や、ストックフォトで売り上げを伸ばしたい人に向けたセミナー「写真が仕事になる!プロに学ぶ、ストックフォトのノウハウ」を東京 京橋にて開催した。セミナーの講師を務めたのはゲッティ イメージズ ジャパン 松岡純平氏(取材時)。グラフィックデザイナーだった時期もある松岡氏は、ストックフォトを「売る側」だけでなく「使う側」の立場も知り尽くしている。

セミナーで松岡氏は、「ストックフォトとはなにか?」の解説を行なった。ストックフォトとは、広告や雑誌の記事などで使うことができる「写真」や「イラスト」を販売してくれるサービスのこと。「新規に写真やイラストを制作しようとするとコストが発生するが、ストックフォトを使用すると、数百万円もかかる撮影費用が、数万~数十万円に収められる場合もある」とストックフォトの利点を語った。

そんなストックフォト業界のなかで、最近は写真初心者でも商売に参加できる「マイクロペイメント」と呼ばれるサービスが人気で、世界中にいくつもの企業が運営している。松岡氏が所属しているiStockphotoもまたマイクロペイメントストックフォトのひとつで、会員数600万人、参加フォトグラファー10万人を有する世界最大規模のサービスだ。

松岡氏は現在iStockphotoで売れているストックフォトを例に、「ストックフォトのノウハウ」を集まった20名の受講生に向けて解説

安い単価のストックフォトをたくさん売る方法

松岡氏は「ストックフォトは儲かるか?」という質問を頻繁に受けると言う。そんなときは決まって「やりかた次第では儲かる」と答えるそうだ。マイクロペイメントのストックフォトは最低価格が100円程度に設定されているので、フォトグラファーによってはこの価格に抵抗感がある人も多いそうだ。これまで数万円で売っていた写真を、ストックフォトでは100円で販売しなければならないので、この気持ちは当然だ。この点に関して松岡氏は「頭の考え方を切り替えるしかない」と語る。単価が下がったのであれば、同じだけの収入を得るには数を多く売ればよい。そのため、ストックフォトで販売すべき写真は、多くの人に受け入れられる必要がある。

セミナーでは、ストックフォトで販売されている写真が二例紹介された。ひとつめは写真をそのまま1枚で使える写真で、ふたつめは合成写真の素材として使える「パーツ」と呼ばれるもの。1枚で使える写真の場合でも、ただ写真が綺麗なだけでなく、コンセプトがわかりやすいと売れる可能性が高くなるとのこと。また、これらの写真には、広告の写真として使いやすいように、キャッチコピーやメッセージを入れるためのスペースを確保しておく必要がある。

パーツ素材となる写真は、購入したグラフィックデザイナーが切り抜きやすいように、白背景で撮影した写真で、なおかつレタッチしすぎない生の素材が好まれる。また、パーツとして使われる写真は、購入したデザイナーが作業する時間が必要なので、広告が露出する約3カ月前に売れることが多い。例えば12月の「クリスマス」をテーマにした素材の場合は、遅くともその年の9月頃までに販売を開始しないと、購入されるのは翌年になってしまう。すぐに売りたいのなら、常に3カ月先の行事を考えながら被写体を選べばよいそうだ。

セミナーでは、パーツ素材として実際に使用された例として、アメリカの映画のポスターと、書籍の表紙が紹介された。これはiStockphotoから購入された複数の写真を合成して作られている。

この映画のポスターは、iStockphotoで販売されている6枚の写真を合成して作られている。爆破され炎上しているバスの画像も、合成で作られた

こちらは書籍の表紙。7枚の写真とイラストが合成用素材として使われている

後編では、セミナーで語られた「ストックフォトで売れる6つのキーワード」について、紹介していきたい。