続いて、神戸市消防局水上消防署 特別高度救助隊 隊長の橘和臣氏から、「震災時における消防の活動と神戸市消防局の取り組み」が紹介された(画像5)。
「阪神淡路大震災により、多くの教訓を得た」と橘氏は語った。震災後に、緊急消防援助隊が組織され、高度救助資機材が導入された。身体の一部が長時間圧迫され、その解放後に起こるクラッシュシンドロームが広く知られるようになったのも、この震災以降のことだという(画像6~8)。
もちろん東日本大震災にも、兵庫県隊から派遣され行方不明者の発見、火災出動などにあたった。
こうした活動を行ってきたレスキュー隊員の立場から、ロボットに求めるものはまずレスキュー時の活動の方針を決定するための探査機能だという。次に、ナビゲーションや赤外線装置、カメラ画像による管理支援機能だ。
現場がレスキュー隊員が活動できる環境であることと、要救助者の所在確認ができれば救助活動の効率化が可能となる。一番必要なのは、要救助者の所在を特定することなのだ。そのためにも現場投入の簡便さや、耐久性と操作性が求められるという。
橘氏は、「テレビで原子力発電所内でのロボットの活躍が報じられたように、特殊災害や環境に対応するロボット開発により、被災者の救助活動を含む防災活動が効率化した。レスキューロボットなどの研究開発が、未来の消防活動を変えていく。今後も実戦配備に向けた開発・発展を期待しする」と講演をまとめた(画像9・10)。
講演後、参加者達は、神戸市水上消防署の特別高度救助隊「スーパーイーグルこうべ」に搭載されている救助資機材を見学した。高度資機材には、熱源を判定する「熱画像直視装置」や、要救助者が発するかすかな音声を聴取して位置を確認する「地中音響探知機」などがある。救助現場では、こうした複数のセンサ類の情報を参考に要救助者の位置を特定し、迅速な救助活動を行っているという(画像11・12)。