米AT&Tは12月19日 (現地時間)、米T-Mobile USAを買収する提案を撤回することを明らかにした。今年3月に独Deutsche Telekom AGと合意したもので、合併が実現すれば、契約数が1億3000万規模の巨大キャリアが誕生するはずだった。
AT&Tは米国の携帯電話市場でVerizon Wirelessと契約者数トップを争っており、同じGSM/UMTS系列に属する第4位のT-Mobile USAの買収によってリードを確保すると共に、サービス提供の効率化と周波数帯不足の緩和を狙っていた。しかしながら、合併が米携帯電話市場の競争を減退させる可能性があるとして米司法省が調査を開始。8月に反トラスト訴訟をワシントンDCの連邦地方裁判所に起こしており、AT&Tは連邦政府機関との対立を解消するのは困難であると判断した。発表文の中でAT&Tは「買収阻止に向けた連邦通信委員会や司法省の動きは、米国の携帯電話産業が抱える問題を解決するものではない。世界規模で最も競争の激しい業界であり、周波数帯への要求は高まる一方で、即効性のある対策が求められている」と指摘している。
なお、買収提案撤回とともにAT&TはDeutsche Telekomと相互利益のあるローミング契約を交わしたことを発表した。