Acronis、バックアップの定番がさらにパワーアップして登場

「Acronis True Image Home 2012 Plus」

AcronisはWindows OSだけでなくLinuxにも対応し、Windows PE(Preinstallation Environment)が普及する以前から、CD/DVDメディアから起動する独自環境でリッチな復元環境を実現し、バックアップ市場では老舗メーカーである。現在では一般的になったHDD(ハードディスクドライブ)のイメージ化も、同社が先駆けて行っている(図01~02)。コンシューマー向けソフトウェアとしては、「Acronis True Image」シリーズを筆頭に、ハードディスク移行ツールである「Acronis Migrate Easy」やパーティション管理ツールの「Acronis Disk Director 11 Home」などをリリース中。Acronis True Image Home 2012 Plusのアドオン・オプションとして提供が開始された、オンラインストレージをバックアップ保存先とした「Acronis True Image Online」なども興味深い。

図01 前「Acronis True Image Home 2010」で作成したブートディスクの起動画面

図02 Windows XP風のUIデザインを用いることで、コンピューター初心者でもわかりやすい操作が可能だった

一方企業向けソフトウェアは、Acronis True Imageの機能を大幅に強化し、WindowsやLinuxといった各OSのバックアップ&復元、ディスク管理を行う「Acronis Backup & Recovery」を筆頭に、各サーバーのバックアップソリューションを提供する「Acronis Recovery for Microsoft Exchange」「Acronis Recovery for MS SQL Server」、実績のあるディスクイメージング技術に基づいたシステム展開ソリューション「Acronis Snap Deploy」と多岐にわたる。

このように幅広いラインナップに裏付けされた技術力と、ユーザビリティを踏まえたUI(ユーザーインターフェース)の改良でバージョンを重ねてきた「Acronis True Image」シリーズだが、待望の新バージョンが登場した。それが「Acronis True Image Home 2012 Plus」である。日本国内では「Acronis True Image Home 2011」が未発売のため、一年半ぶりのバージョンアップだ。

新機能が加わり、様々な角度から強化された「Acronis True Image Home 2012 Plus」

最新バージョンでは、前バージョンである「同2009」「同2010」で行われたUIの改善を更に進め、わかりやすさを強化。差分バックアップや増分バックアップを詳細メニューにまとめるなど手順を簡略化することで、コンピューター初心者でも目的の操作に素早くたどり着けるようになった。

また、UIに簡易的なチュートリアルを盛り込んでおり、視覚的なバックアップの内容を把握しやすくなったのは万人が享受できるメリットとなるだろう。このほかにも実行ファイルのショートカットメニューに、復元機能や後述するノンストップバックアップに関連する項目を用意しており、全体的な操作性も向上している(図03~05)。

図03 「Acronis True Image Home 2012 Plus」のメイン画面。これまでのイメージを一新したシンプルなデザインである

図04 図03のイラスト部分をクリックすると表示される説明画面。一連の手順を簡単に解説している

図05 ショートカットメニューに並ぶ関連項目。例えば「Acronisリカバリ」を選択すると、ファイルやフォルダーの復元を簡単に実行できる

Windows XPのように2TB(テラバイト)を超えるHDDを標準環境でサポートしていない場合でも、「Acronis True Image Home 2012 Plus」は同HDDを認識することが可能である。このように最新のハードウェア環境にも追従しているのも新機能における魅力の一つだ。

また、コンシューマー向けバックアップツールとしては珍しいEFIのサポートも注目ポイントだ。そもそもEFIとはExtensible Firmware Interface(拡張ファームウェアインターフェース:標準化団体の管轄に移管されているため、Unified EFIと称する場合もある)の略で、従来のBIOSに変わるOSとハードウェアをつなぐソフトウェアである。

現在のコンピューターに搭載されているBIOSは歴史的にも古く、様々な新ハードウェアに追従するのは難しくなってきた。そのため1990年半ば頃からIntelとヒューレットパッカードの共同研究が始まり、現在のEFIに至っている。2011年に発表されたマザーボードの多くがEFIを採用していることからもわかるように、今後は市販のコンピューターもEFIを採用するケースが多くなるはずである。

「Acronis True Image Home 2012 Plus」では、このEFIをサポートすることにより、BIOSを搭載したコンピューターで作成したバックアップデータもEFI対応コンピューターへ復元できるため、今後コンピューターを買い換える場合も安心だ。

同時にGPT(GUIDパーティションテーブル)ディスクの完全サポートも注目点。前バージョンで「Acronis True Image Home 2010 Plus Pack」を導入することでGTPディスクおよびダイナミックディスクによるバックアップ/復元をサポートしていたが、今回は標準サポート。

BIOSとEFIの関係と同じく、ディスクのパーティションを管理するMBR(マスターブートレコード)の実装形式は古いため、今後はGPTが中心になっていくだろう。このような新しいコンピューターや新しいOSに追従できるのが、「Acronis True Image Home 2012 Plus」である。