日本マイクロソフトは28日、今年の2月に移転した品川本社を中心とする同社の省電力化への取り組みを紹介するプレス向け説明会を開催した。

日本マイクロソフト 業務執行役員 最高技術責任者 加治佐俊一氏

日本マイクロソフト 業務執行役員 最高技術責任者の加治佐俊一氏によれば、同社では、電灯、空調、複合機、ごみ分別、仮想環境の推進、社員意識向上の6つのポイントで省電力に取り組んでおり、ワールドワイドでは、2012年度までに、エネルギー消費量を2007年度比で30%削減することを目標に掲げているという。なお、品川本社は、移転前に比べフロア面積が30%拡大しており、30%の削減目標を達成するには、約50%の省電力化が必要になるという。

品川本社での省電力への取リ組み

また、今年の5月にWebで公開した自動節電プログラム「Fix it」は、すでに19万ダウンロードを達成し、加治佐氏は「Windowsのコントロールパネルで簡単に設定できることを知ってもらい、実行していただいたことは大きな成果だ」と述べた。

「Fix it」

同社が取り組んだ省電力化のなかで、最も効果あったのは電灯による省電力化で、品川本社ではLEDを活用したほか、通常、1,000-900ルクスが標準の机上面照度を震災前は350ルクスに設定。さらに、震災後は250ルクスに設定し、個別に照度が必要な場合は、タスクスタンドで対応しているという。

電灯による省電力化

空調では、会議室など個別スペースごとの空調を廃止。オープンスペースのドアは、人がいない場合はオートオープンする仕組みを導入し、外部の空調で会議室内部も冷却するというシステムを採用した。

プリントでは、複合機にIDカードシステムを採用し、カードをかざすことで、どこにある複合機からでも出力できる環境を整えた。これにより、出力ミスや紙の取り忘れを無くし、紙の削減を実現したほか、セキュリティ向上につなげたという。具体的な成果としては、消費電力は品川本社移転前に比べ47.2%、紙の消費については移転前に比べ28.1%の削減になったという。

IDカードシステム採用による成果

これらの施策により、品川本社移転前を100とすると、移転直後の電力使用量は平均で34%、震災後は40%の削減を達成したという。

省電力化に向けた取り組みの成果

また、8月からは各フロアーの分電盤に設置された計測モニターを利用し、電力使用量の見える化を実現。SQL Serverにデータを保存し、部門別に消費電力、先週、先月、昨年との違い、時間帯別の違い、目標に対する達成率などを自動分析するシステムを導入、社員意識向上を図っている。加治佐氏は、「細かな単位で見える化することが重要だ」と述べた。

電力消費可視化ソリューション

なお、同社が導入した電力使用量の見える化ソリューションでは、コネクタレイヤを設けることで、単位、通信方式、フォーマット、プロトコルなどの異なるセンサーデバイスでもデータ取集が可能としている。そして、今年の12月にはソリューションのソースコードをWebで公開し、自由に利用できる環境を整備する。なお、公開されるソリューションは、データベースにSQL Serverを利用する以外は、カスマイズや商用利用も自由に行えるという。

電力消費可視化ソリューションのアーキテクチャ

品川本社でのデータ収集のしくみ