オンキヨーは16日、Windows 7搭載のスレートPCやAndroid 3.2搭載のタブレットなどの新製品を発表し、その製品発表会を開催した。席上では今後も同社がスレートPC/タブレットを中心にビジネスを行っていくことが表明され、同社が先頭に立ってスレートPC/タブレットの市場を切り開いていくという展望が語られた。

Windows搭載のスレートPCとAndroid搭載の"スレートパッド"を2本柱に

オンキヨーデジタルソリューションズ株式会社 代表取締役社長 菅正雄氏

登壇したオンキヨーデジタルソリューションズ株式会社の菅正雄代表取締役社長は、「まずデスクトップ型のPCというものが登場し、その後ノートPCが登場。そのときには、"性能で劣るこの製品が市場に受け入れられるのか"と懸念されたが、今では市場の7割を占めるまでになった。そして昨年、スレートPCという商品を市場に投入したが、その反応はノートPCが登場したときと同じ」として、現在、パフォーマンス面が不安視されることの多いスレート端末についても将来の展望は明るいとの見解を示した。ノートPCが小型化・バッテリ駆動化によって「外に持ち出す」という新たな市場を創造したのと同じように、スレート端末はキーボード非搭載・タッチパネルによる操作の新しいPCの市場を形成するはず、というのだ。その市場規模としては2011年で200万台、2015年で1,000万台を想定。国内で最初にスレートPCを市場に投入したというメリットをいかすためにも、今後のビジネスにおいてスレート端末に重点を置き、この分野を徹底的に伸ばしたいと語る。

同社では、スレート端末の市場を3つに分けて考えているという。ひとつはiPadの市場。世界的にも圧倒的なシェアを持っているが、コンシューマ向けであり、業務用途は限定的であるとみている。続いて、Windows搭載のスレートPCの市場。ここは、既存のWindowsソフトを使いたい企業向けの市場であり、オンキヨーがもっとも力を発揮できる市場と同社では考えている。そして最後が、Android搭載タブレット、同社が"スレートパッド"と呼ぶ市場だ。この市場は、これまで高価な業務用の専用端末を導入されてきた市場であり、そこを安価なAndroid搭載タブレットで置き換えていきつつあるという。この、Windows搭載のスレートPCとAndroid搭載の"スレートパッド"の2本柱で市場を攻略していくというのが同社の戦略だ。

オンキヨーはノートPCのように、スレート端末が大きな市場を形成するとみる

オンキヨーが考えるスレート端末市場の3つのフィールド。iPadの存在の大きさは認めつつ、企業向け分野の攻略を目指す

その活用分野は、一般のプレゼンテーションなどから研究・流通、医療や出版まで多岐に及ぶ。導入事例も少なくなく、ノートPCでは対応できない市場、スレート端末が新規に開拓していく市場は広いと同社では考えている。

スレート端末が受け入れられる市場は広い

ただし現時点では、まだ顧客の側がスレート端末によって問題が解決されるということに気付いていないことが多いという。このため、サードパーティのソフトハウスやSIerと協力し、この市場を大きく伸ばしていきたいという。そのための施策として同社が設置したのがスレート端末に関する法人向けの情報を集約したWebサイト「SLATEPLAZA」(2011年5月スタート)だ。同社では、このサイトやセミナーなどを通じて、パートナーシップの構築と情報の共有を進めていこうとしている。

製品の市場導入後、顧客からはさまざまな要望が出ているとのことで、同社としてはそれをひとつひとつ着実に実現することで、新たな商品を開発していきたいと語る。今回発表の製品では、電子署名を求める顧客の声に応え、Androidでは難しいとされていた電子署名を実現したという。

市場拡大に向けてはパートナーシップの構築が重要。Webサイト「SLATEPLAZA」はそんな環境整備の試みのひとつだ

顧客からの要望に、自社だけでなくパートナー企業とともに対応していきたいという

スレート端末を中心に関連製品を展開

今回発表の製品はいずれも"スレートを中心に"という事業戦略に基づくものだ。スレートPCとスレートパッドは言うに及ばず、ノートPCはスレート端末に近い形を目指していく。そして、スレート端末の周辺機器第1弾としては、オンキヨーブランドを活かせるジャンルということでオーディオ機器を選んだ。ワイヤレススピーカーにDLNA機能を内蔵した製品は、同社によればこれまでにないものだという。そのほか、デジタルサイネージやデジタルフォトフレーム、車載カーナビなど、「画面があって表示するもの」については徹底的に追求していきたいと語る。

スレート端末を中心に据え、関連製品を展開していく

今回発表の商品の詳細については、個々の製品の紹介記事(スレートPCスレートパッドノートPCスピーカー)を掲載しているので概要についてはそちらをご参照いただきたい。

プレゼンテーションの中で大きくフィーチャーされた機能はふたつ。ひとつめは、Metamojiと共同で開発したという日本語入力システム「7notes with mazec for ONKYO」だ。これは、手書き文字認識システム「mazec」と手書きデジタルノート「7notes」をAndroid向けに開発し、今回採用したもの。Androidにおける手書き入力を求める声はこれまでも高かったそうで、同社ではこのソリューションが用意されたことによりさらに市場が広がったと見ている。

製品紹介の中で注目機能のひとつとして紹介された「7notes with mazec for ONKYO」。交ぜ書きも可能な手書き入力システムだ

もうひとつは、DLNA対応スピーカー「GX-W70HV」のワイヤレス音楽再生。この製品については「たぶん世界でもこんなことを考える人はいないんじゃないか、というモデル」と語る。Windows 7にはDLNA機能が搭載されているが、その機能を活かせる周辺機器がないのが現状。そこでオンキヨーが開発したのが、DLNA標準対応で無線LAN内蔵のこの製品。音質もさることながら、DLNA対応による利便性を特徴としてアピールした。

「GX-W70HV」はワイヤレスであることのメリットを活かし、スレート端末内の音源を再生することも、スレート端末をリモコン代わりにしてネットワーク内のPC・ストレージなどの音源を再生することも可能。この場合の端末は同社製品に限られない

会場に展示されていた「GX-W70HV」

1台のPCから、会場内の複数の「GX-W70HV」で異なる楽曲を再生するデモも披露された

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