カナダのResearch In Motion (RIM)は10月18日(米国時間)、米カリフォルニア州サンフランシスコで開催されているBlackBerry DevCon Americas 2011において、次期主力OS「BlackBerry BBX」を発表した。BBXは新たにBlackBerry Cascades UI Frameworkをサポートし、これまでスマートフォンとタブレットで2系統に分かれていたOS環境を包含する仕組みとなる。
現在RIMはスマートフォン向けにBlackBerry 7 OS、タブレット向けにBlackBerry PlayBook OS 1.0を提供している。後者のPlayBook OSについては、2010年にRIMが買収したQNX Software Systemsの資産を活用したものとなっており、いわゆるQNXベースのOSとなっている。RIMによれば、BBXは「BlackBerryとQNXのいいとこ取り」なOSとのことだが、開発環境を継承した点を除けば、ほぼQNXベースで刷新された新OS環境となっており、QNXをスマートフォンへと移植した形といえるかもしれない。アプリ実行環境はPlayBookのそれになっており、Native SDK (C/C++)のほか、Adobe AIR/Flash、WebWorks/HTML5、そしてBlackBerry Runtime for Android Appsとなっている。
このほか、RIMでは既存環境向けのアップデートもいくつか発表している。1つはHTML5アプリ開発フレームワークであるBlackBerry WebWorks SDKの最新バージョン2.2においてPlayBookプラットフォームをサポートしたこと、C/C++でネイティブプログラミング可能なNative SDKのBlackBerry PlayBook版のv1.0がリリースされたこと、SDK for Adobe AIRでAIR 3.0をサポートしたこと、そして最後にPlayBook OS 2.0のDeveloper Betaの提供が開始されたと報告した。PlayBook向けのアップデートが中心となるが、BBXがQNXベースであるならば、将来に向けた環境作りの一環だといえるかもしれない。
日本でのBlackBerryの状況だが、NTTドコモは18日の発表会で来年2012年2月にもBlackBerry 7 OSを搭載した最新の「BlackBerry Bold 9900」を市場投入することを報告している。北米で9900がリリースされたのは8月のため、ほぼ半年遅れでの投入となるが、NTTドコモによれば、これでも以前までに比べてリリースサイクルの遅れはかなり短縮された状態だという。変更点はローカライズのほか、SPモードへの対応、緊急地震速報への対応の2点が施されたのみで、基本的にはBlackBerry 7 OSそのものの品質を高めるための改修に時間がかかっていたという。PlayBookについても本来は「9-10月の日本投入」をRIMから予告されていたというが、その後のアップデートが報告されない状態のため、現時点で投入時期は未定のようだ。PlayBookそのものの市場撤退も噂されるRIMだが、今回のBBXにみられるようにQNXを主軸にOS戦略を進めている以上、どこかでローカライズを含めた日本向けの施策を発表する必要が出てくるだろう。まずは来年以降のRIMの発表に注目したい。