コーディングやデザインの知識は一切不要、最新のニーズに沿ったWEBサイトが作れるホームページ制作ソフト、「BiND(BiND for WebLiFE*)」の新バージョンが9月2日に登場した。今回は完成直前のバージョンを試用し、新バージョンの全貌に迫っていくことにする。

BiND for WebLiFE*5
発売:デジタルステージ
価格:スタンダード版:1万9800円/プロフェッショナル版:2万9800円
URLhttp://www.digitalstage.jp/
備考:Mac OS Xライオンに対応

ビジネスではスピードが重要

個人でWEBサイトやブログを持っているものの、HTMLコードの知識を要求されるような細かなカスタマイズでつまずき、ストレスを感じている人はいないだろうか。もしくは、WEBサイトの制作を外注している企業や店舗の経営者で、外注先に意図が伝わらなかったり対応速度が遅かったりしてイライラした経験はないだろうか。そういう方々には、ぜひBiNDシリーズの導入をおすすめしたい。このソフトを使えば、HTMLコードなどの特別な知識を習得しなくても、簡単に、しかも見映えのよいWEBサイトを構築できるのだ。

初代バージョンから5年が経ち、すでにBiNDシリーズは熟成されてきた感がある。バージョンを追うごとに自由度も高まり、「あれができない、これができない」という不自由さはほとんどなくなった。

そんなBiNDの新バージョンがまもなく発売となる。今バージョンの5では自由度の高さはそのままに、効率面の見直しや共同編集のサポートなど、WEBサイトの制作フローを改善する工夫が凝縮されている。

例えば効率面に関しては、サイト編集補助ツールをより素早く呼び出せるようになった点が挙げられる。BiNDにはWEB用の画像パーツを制作する「SiGN(SiGN for WebLiFE*)」というツールが同梱されているが、このツールの呼び出しがより迅速にできるようになり、快適な制作作業が可能になった。

しかもSiGNは、旧バージョンに比べ画像編集機能も向上し、複数のレイヤーを重ね合わせた複雑なデザインも任せられるようになっている。フォトショップなどの画像編集ソフトを使わなくても、BiNDだけで作り込みができるのだ。

また、共同編集のサポートは、特に仕事でのWEBサイト作成において大きな進化だ。これまで、共同編集のためにサイトデータを共有しようと考えた場合、LAN内(社内)にファイルサーバを置いて共有するしかなかった。しかし、今回のバージョンでは、無料で使えるオンラインストレージサービス「ドロップボックス(Dropbox)」を使ってサイトデータが共有できる。この方法を使うことで、会社と家という離れた場所でも、また複数のマシンや作業者でも共同してWEBサイトを更新できるようになった。

WEBサイトの共同編集機能としてもう1つ、クラウドメモサービス「エバーノート(Evernote)」との連携にも注目したい。BiNDからエバーノートを開いたり、編集しているWEBページを画像としてノートに書き出せる。ノートをほかのユーザと共有してサイトに使う原稿などを集約したり、内容を確認してもらったりといった使い方が可能だ。

ソーシャル対応はますます重要に

これらの効率化に向けた機能向上とは別に、本バージョンにおける進化のもう1つの柱といえるのがソーシャルメディアへの対応強化だ。

ソーシャルメディアは単に楽しい・人気という局面から、仕事に直結したマーケティングツールとしての側面に注目が移ってきている。ソーシャルメディアの運営はWEBサイト運営と同様の根気・熱意が必要だが、あれもこれもと考えるとどんどん手間が増えてしまう。WEBサイトとソーシャルメディアを上手に連携させ、効率的に運用することが重要となる。

例えば、本バージョンの新機能の1つ「ソーシャルコネクト」は、WEBサイト更新や各種のお知らせをミクシィ、ツイッター、フェイスブックに同時に投稿できる機能だ。効率化が図れるだけでなく、分析機能を使ってソーシャルでの反響もチェックできる。また、同じく新機能の「バインドフォーフェイスブック」ではフェイスブックのカスタムページをデザインすることもできる。業者に頼めばかなりの予算が必要となるようなプロモーションページの起ち上げも可能になるのだ。

ソーシャルメディアは発信者と読み手とのコミュニケーションを図るうえで極めて有効な手段だが、インターネット上の個人・企業の窓口として考えるとこれだけでは心許ない。静的に公開・告知のコントロールが可能なホームページの運営も、ますます重要なものになってきているといえる。ソーシャルメディアとWEBサイトを効果的に連携させ、しかも効率的に情報発信していくことは、これからのWEB制作者の課題だ。今回のBiNDは、そんな課題をクリアするための、最適解の1つといえそうだ。

共同編集に対応

BiNDサイトを編集する際、保存場所に「ドロップボックス」を選択できるようになった。なお、1サイトへの同時編集は禁止されている
クラウドメモサービスの「エバーノート」にも対応。編集しているページのプレビュー画像を、エバーノートの「ノート」として書き出すことができる。エバーノートの「共有メモ」機能などを使えば、WEBサイトの校正といったコラボレーションワークが可能になる

ソーシャル連携を強化

ソーシャルコネクトは、ツイッター、フェイスブック、ミクシィと連携して、まとめて情報をつぶやいたりホームページの更新を知らせることができる
ソーシャルコネクトでは、それぞれのソーシャルメディアへの投稿がどれだけ反響を呼んだかなどをチェックできるよう、分析ツールやアクセス数チェックサービスとも連動する
ツイッター関連では「ツイッターバッチ」が追加できるようになった。ブログページの右端によく貼ってある、お馴染みのパーツだ フェイスブックの「いいね!」やツイッターの「つぶやく」ボタンなどを追加可能なので、ブログのように記事単位、ページ単位でのソーシャル連携もラクラク行える
「BiND for Facebook」では、フェイスブックページのカスタムページ作成まで行える。フェイスブックでカスタムページに反映するには、通常はかなりの技術と手間がかかるが、BiNDサーバ(後述)と連携することで敷居がぐっと低くなる

コンテンツ制作系も強化

大幅な機能アップを遂げたSiGNは、レイヤーで画像を重ねたり、サイズや位置調整も自由自在に行える またSiGNは、待望の画像サイズの変更にも対応した。さまざまな画像加工がこれ1本でできるようになっている
オフィスパーツは、ワードやエクセルの文書をコピーすることでBiNDへ取り込み可能にする機能。画像や文字修飾も含めてデータを移行できるのがポイントだ。見た目を維持して画像として貼り込むこともできる ページ内にスライドアニメーションを挿入する補助ツール「SHiFT for WebLiFE*」も進化。新しいトランジション(画像の切り替え演出)が多数追加された

サイトのアップロード先はどうする?

BiNDで制作したWEBサイトは、一般的なWEBサーバならどこにでも公開できるが、さらにBiNDには、初心者でも簡単に設定・メンテナンスでき、モバイルデバイス向けの自動最適化なども行える「BiNDサーバ」という専用のサーバサービスがある。

このサーバサービスを使用しなくてもBiNDの機能は存分に使うことができるが、フェイスブックページの反映などは、BiNDサーバを使ったほうがより簡単にできるようになる。

BiNDのパッケージでは、BiNDサーバの無料使用権(スタンダード版とプロフェッショナル版で無料試用期間は異なる)がセットになっているので、まずは登録して使い勝手を試してみるといいだろう。

NewsEye

BiND5は最新のライオンにもしっかりと対応している(前バージョンまでは現在ライオンには非対応)。発売元のデジタルステージによれば、BiND4も10月末にはライオンに対応させる予定だというが、ライオンを使うならBiND5に乗り換えるのが近道だといえる。

BiNDのスタンダード版には、BiNDサーバ6カ月分の無料使用権、プロフェッショナル版には24カ月分の無料使用権が付く。無料で利用できるのはともに「Basicコース」というプランで、ショッピングカート機能などを備えた上位の「プレミアムコース」も存在する(月額2980円)。

(Mac Fan10月号より転載)