米司法省は8月31日 (現地時間)、AT&TによるT-Mobile USA買収を阻止するための反トラスト訴訟をワシントンDCの連邦地方裁判所に起こした。「AT&TとT-Mobile USAの組み合わせは、モバイルワイアレスサービスの価格の上昇、選択の減少、製品品質の低下に、米国の消費者を直面させると判断した」とJames M. Cole司法次官。
現在、米携帯電話市場ではAT&TとVerizonが熾烈な首位争いを展開し、3位のSprintと4位のT-Mobileが価格やサービス面でユニークな商品を提供してトップ2に対抗している。2位であるAT&Tが4位のT-Mobile USAと合併すると契約数が1億3000万規模の巨大キャリアが誕生する。AT&T、Verizon、Sprintの3社で米携帯電話市場の9割以上を占めることになり、Cole氏は「(寡占化が進むことで) 価格、品質、革新性を含め、あらゆる面で競争が減退する」と会見で述べた。またAT&TがT-Mobile USAからの競争圧力を強く感じているとも指摘した。T-Mobile USAはAT&Tと同じGSM系の通信キャリアであり、米国市場で初のAndroidスマートフォンを発売し、いち早くHSPA+対応端末を投入した。競争力のある価格やサービスに加えて、T-Mobile USAのフットワークの軽さも一部の消費者から高く評価されており、「(AT&Tは) 合併によってT-Mobileというアグレッシブなライバルを市場から消すことになる」とした。