OSのインストール/アップグレードといえば、CD-ROMやDVD-ROMからシステムを起動するもの……OS X Lionは、そういった既成概念を過去のものにした。それだけでない、起動ボリュームに未知のパーティションを作成するなど、ふと気づけば新しい取り組みを見せてくれている。今回は、そのパーティション「Recovery HD」の姿を追いたい。

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OS X Lionのインストールは、すこぶる簡単。Mac App Storeからダウンロード購入できるインストーラは、OS Xで一般的なバンドル形式のアプリケーション(*.app)であり、ダブルクリックして起動すればそのままSnow Leopardを上書きアップグレードしてくれる。DVD-ROMからブートするという手間はなく、新Mac miniに見られるSuper Drive廃止という決断にも少なからず影響しているのではなかろうか。

実際、OS X Lionのインストーラはよく考えられている。新・OS X ハッキング! 第6回『Lionへアップグレードするその前に~インストールDVDをつくろう~』でも触れているが、アプリケーションバンドル内部にはディスクイメージ(*.dmg)が収録され、DVD-Rに焼きブートディスクとして使うことも可能となっている。

OS X Lionのインストーラ内部には、DVD-Rに焼くとブートディスクとして使えるディスクイメージが収録されている

なにより、従来にない手法が採用されている。インストーラを起動し所定の手続きを進めていくと、既存の起動ボリューム(パーティション)の内容を損ねることなく容量が自動的に調整され、約640MBの「Recovery HD」というパーティションが新たに設けられるのだ。名前が示すとおり、このパーティションはシステム復元用領域として使用される。

「Recovery HD」の存在は、付属のディスク管理ツール「ディスクユーティリティ」では知らされないが、Terminalから「diskutil」コマンドを実行すれば確認できる。次の画面写真では、Lionがインストールされた64GB SSD(disk0)と、Snow Leopardがインストールされた250GB HDD(disk1)で、構造の違いを読み取れる。ここでパーティションタイプがApple_Bootの「disk0s3」が、Recovery HD用に確保されたパーティションだ。

Lionへのアップグレード後にdiskutilコマンドを実行すると、「Apple_Boot」というタイプのパーティションが作成されたことがわかる