新バージョン「CD革命/Virtual Ver.12」登場

「CD 革命/Virtual Ver.12 Professional」

「CD革命/Virtual Ver.12 Standard

東北地方太平洋沖地震の余波を受け、あらゆる場面で省電力化が求められている。コンピューターを使用する際の省電力設定は、液晶ディスプレイの輝度を下げたり、スリープを能動的に活用したりするなど、様々なアプローチがあるものの、モーター駆動を意味するスピンドル部品を備えたデバイスの影響は大きい。

スピンドル部品を持つデバイスとして、ハードディスクドライブや光学ドライブなどがあげられるが、いずれもスピンアップ時に大きく電力を消費するため、省電力化やバッテリ駆動時間の延長を望む場合は、1スピンドル(ハードディスクドライブのみ)で運用した方が効果的だ。

その一方で、モバイルコンピューターは1スピンドルモデルも少なくないが、作業内容によっては光学ドライブ、および光学メディアを持ち運ばなければならない。しかし、光学ドライブの使用は消費電力の増加につながるため、バッテリ駆動時間も短縮してしまう。破損しやすい光学メディアの運搬も、可能であれば避けたいはず。このような背景から生まれた「CD革命/Virtual」シリーズは、CDやDVD、Blu-rayといった光学メディアをそのまま使用せず、イメージファイル化して運用することが可能なアプリケーションだ。

光学メディア仮想化ソフトウェアという分野では、先駆けと言える存在。コンピューター上に仮想的な光学ドライブを作り出し、取り込んだ光学メディアの一括管理や、読み込み速度の向上といったメリットを備えている。そのため、前述のような省電力化はもちろん、光学メディアの扱いを軽快なものにする。同アプリケーションから恩恵を受けたユーザーは少なくないだろう。

その「CD革命/Virtual」シリーズに最新版となる「CD革命/Virtual Ver.12」が登場した。新たに異なるコンピューターの光学ドライブを遠隔操作するODS(光ディスクドライブ共有)機能や、構築できるイメージファイル形式の拡充、その他にもユーザーインターフェース面の小規模な改良が施されている。現在でも多くの愛用者を抱える光学メディア仮想化ソフトウェア「CD革命/Virtual Ver.12」の新機能や改良点を詳しく検証してみよう。

別のコンピューターの光学ドライブを共有する

それでは新たに搭載されたODS機能から確認しよう。同機能はサーバー役となるコンピューターのCD/DVD/Blu-rayといった光学ドライブを共有し、クライアント役となるコンピューターの仮想ドライブとして使用する、というものだ。

そもそもWindows OSには、任意のフォルダーやドライブを共有する機能が備わっているものの、あくまでもフォルダーとして参照できるに過ぎない。「CD革命/Virtual Ver.12」のODS機能は、共有設定した光学/仮想ドライブをクライアント側の仮想ドライブとして使用できるのが最重要ポイント。音楽CDやDVDビデオのように、アプリケーションに対して光学メディアとして認識させる必要があるケースに威力を発揮する(図01)。

図01 ODS機能の概念図

同機能を実現する光ディスクドライブ共有機能は、「CD革命/Virtual Ver.12」と異なるプログラムとして製品CD-ROMに納められているため、サーバー役となるコンピューターおよびクライアント側に導入しなければならない。なお、光学ドライブを搭載していないコンピューターの場合、製品CD-ROMの「\ODS\client」フォルダーにある「OdsCntSetup32.exe」もしくは「OdsCntSetup64.exe」をUSBメモリーなどにコピーし、実行することでセットアップ可能だ(図02)。

図02 ODS機能は「CD革命/Virtual Ver.12」から独立したプログラムとなる

サーバー役となるコンピューターでは、導入時に共有可能にするドライブおよび割り当てポート番号の選択を求められる。これは、サーバー~クライアント間でドライブを共有するために必要な作業だ。光学/仮想ドライブに付き、一つのポート番号が必要となるので、自身のネットワーク環境を踏まえつつ、使用していないポート番号を割り当てなければならない。コンピューター初心者には、多少敷居の高い作業になるかもしれないが、初期状態の3500番から3501、3502……と増やしていくといいだろう(図03~04)。

図03 サーバー役のコンピューターには「光ディスクドライブ共有機能-ホスト-」をインストール。サービスとして稼働するため、コンピューターの再起動が必要だ

図04 アプリケーションを起動し、共有可能にする光学/仮想ドライブを選択。ポート番号は3500から手動で割り当てる

クライアント側では、ファイアウォールの例外設定や共有ドライブの選択、そして有効化といった手順が必要となる。サーバー役となるコンピューターの検出は自動的に行われ、列挙された共有ドライブを選択するだけなので、特段難しい操作は必要ない(図05~09)。

図05 クライアント側は「光ディスクドライブ共有機能」をインストール。同じようにコンピューターの再起動が必要だ

図06 アプリケーションを起動し、<共有ドライブを設定する>ボタンをクリック

図07 この際、ファイアウォールに関する設定をうながされる

図08 共有するドライブを選択してから<共有>ボタンをクリックする

図09 これで共有ドライブの選択が完了した。まだ、この時点では共有は行われていない

あとは光ディスクドライブ共有設定ツールで選択した光学/仮想ドライブの共有を有効にすれば、仮想ドライブが列挙されるようになり、サーバー役となるコンピューター側でマウントした光学メディアやイメージファイルの参照や再生が可能になる(図10~13)。

図10 <BD/DVD/CDドライブを共有する>ボタンをクリックする

図11 するとサーバー役のコンピューターへ接続が始まる

図12 これでサーバー役のコンピューターにある光学/仮想ドライブの共有が完了した

図13 クライアント側で共有したドライブが、仮想ドライブとして使用可能になる

筆者の環境にはBlu-rayドライブがないため検証していないが、音楽CDの再生はもちろん、DVDビデオも大きな問題もなく再生された。ただし、無線LANを用いた場合、無線状態が悪くなると再生が遅延する場面もあり、このあたりは使用環境に左右されるだろう。

また、複数のコンピューターをクライアントとして使用する際、共有ドライブに接続できるのは一台に限られる。あくまでもODS機能は“光学/仮想ドライブをクライアントの仮想ドライブとして使用”するのが目的であり、ファイルを共有するのであれば、Windows OSの標準機能を用いた方がシンプルだ。

書斎などにあるデスクトップコンピューターをサーバー役とし、リビングなどに持ち込んだモバイルコンピューターで映像や音楽を楽しむ。起動に光学メディアが必要なPCゲームやアプリケーションを使用する際に、OSD機能は威力を発揮するだろう。