また、電波利用効率を向上させ、利用する周波数を追加することでもトラフィック増に対応できるが、これを実現するための技術がWiMAX 2だ。WiMAX 2では、理論上は下り330Mbps、上り110Mbpsを実現し、時速350kmでも利用できるというのが特徴だ。この数値は周波数を40MHz幅使った場合で、UQでは「現実的には取得できるのは20MHz幅」(同)と見ているため、下り最大165Mbps、上り最大55MbpsのWiMAX 2サービスを今後スタートさせたい考えだ。

回線の逼迫に対応する方法は「3つしかない」(野坂社長)が、基地局の増設は、特に都心では限界に来ている。そのため、残る2つの方法を採用するしかないという。それがWiMAX 2の採用で、UQでは20MHz幅を使ったサービスを想定する

WiMAX 2では、高速通信によって映画1本(4.7GB)のダウンロード時間が、WiMAXの1時間に対して6分、音楽10曲(40MB)が同32秒が3.2秒といったように、速度向上で1人あたりの通信時間が短くなる。WiMAXのトラフィックの一部をWiMAX 2に逃がす(オフロードする)ことによる容量増加も加えて、今後のWiMAXのオーバーフローを解消したい考えだ。ちなみに、WiMAXとWiMAX 2では後方互換性が確保されており、WiMAXの基地局にはWiMAX端末もWiMAX 2端末も接続でき、WiMAX 2基地局にもどちらの端末も接続できる。

東京都心部の基地局は200~300m間隔で、満足な性能を発揮するには限界だという

ここにWiMAX 2を重ねて展開することで、WiMAX 2に通信を待避させることができれば、トラフィックをさばきやすくなる

そのために、WiMAX 2端末を順次提供し、速度と容量が必要なユーザーのトラフィックをオフロードしていく

WiMAX 2では、WiMAXよりも利用料金を高く設定し、さらに大容量のデータ通信に対しては従量制などの方策を検討しているそうだ

下りだけでなく、上り速度も向上することで、例えば運動会で、HDビデオカメラで撮影している動画を、リアルタイムで遠隔地の祖父母にストリーミングする、といった用途を紹介し、新たな利用シーンも創出していきたい考えだ。料金体系に関しては、WiMAX 2は当初、現在のWiMAXよりも高い利用料金を設定し、さらに一定以上を利用するユーザーには従量制などの利用料金を想定している。野坂社長は、極力速度制限はしたくないという考えを示しており、「他社の設定よりもけたが違う」ぐらいの容量制限を実施し、それ以上の利用者からはそれに応じた料金を徴収していきたい考えだ。

高速大容量の通信を活用した新しいサービス、利用シーンの拡大も狙う