iPadのSafariでNYPOST.comにアクセスすると表示されるメッセージ。専用アプリのダウンロードを促される

老舗の日刊紙で知られる米New York Postが、iPadからのWebブラウザ経由でのコンテンツへのアクセスを遮断したことが話題になっている。iPadで同社サイトへと接続しようとすると「現在iPadからのアクセスは専用アプリ経由でどうぞ」との警告が出てアプリのダウンロードを促される。iPadユーザーは無料コンテンツではなく、別途用意した有料のコンテンツへとアクセスしてほしいとの理由からだ。

この件についてはpaidContentなどが報告している。同社サイトのNYPOST.comについては、通常のPCのWebブラウザ経由であれば問題なくコンテンツにアクセスできる。だが前述のように、iPadのMobile Safariブラウザでアクセスすると誘導ページへと転送され、あくまで有料サブスクリプションの契約をもってコンテンツへとアクセスするよう促される。

「なぜiPadだけ?」という疑問もわかないではないが、現在のNY Postの親会社があのRupert Murdoch氏率いるNews Corporationだという話を聞けば「ああ、なるほど」と納得する人もいるだろう。同氏はiPadや他のタブレットなど新型デバイスの普及がコンテンツを拡販する機会の拡大に貢献し、さらに無料閲覧が一般化したWebコンテンツとは異なり、有料化が必然になるとも指摘している。また英国など、一部の地域ではWebコンテンツ自体の有料課金にも踏み切っており、課金モデル推進派としての活動が知られているからだ。

元からある機能を制限してまで閲覧スタイルを縛るのか? という疑問が筆者にはあるが、デジタル技術が進めば進むほど不便になる事象というのは今回のNY Postの件に限ったことではない。あくまで移行に伴う混乱期と認識しておくのがいいかもしれない。なおApple Insiderでも報告しているように、現在のところはiPadのSafari以外のブラウザ――SkyfireやOpera Miniなど――を使えば問題なくアクセスできるようだ。とはいえApp Storeではサードパーティ製ブラウザの登録は少ない。実質的にアプリ経由以外でのアクセスは締め出された状態だといえるかもしれない。