カシオ計算機は6月13日と14日の2日間、教育現場やビジネス向けとなるプロジェクターの新モデルを中心とした展示会「カシオコミュニケーションプロダクツ2011」を開催。プロジェクターのほかにも、ラミネート加工ができるページプリンタや、魚眼レンズを応用した広画角のネットワークカメラといったユニークな製品も、来場者の注目を集めていた。

プロジェクターの新モデルは、2011年3月29日に発表された3シリーズ。スタンダートタイプの「XJ-M」シリーズ、ハイグレードタイプの「XJ-H1650」と「HJ-H1600」、短焦点タイプの「XJ-ST155」と「XJ-ST145」だ。スタンダードタイプは2011年5月に発売済みで、ハイグレードタイプと短焦点タイプは2011年7月の発売予定となっている。

「XJ-M」シリーズ

「XJ-H1650」および「HJ-H1600」

「XJ-ST155」および「XJ-ST145」

独自の「レーザー&LEDハイブリッド光源」を搭載し、水銀ランプを使わずに最大3,500ルーメンの明るさを実現した。水銀ランプを使わない"水銀フリー"の仕様は、欧米で非常に関心が高まっているという。

青色レーザーの光を"緑"の蛍光体で反射させ、RGBにおける"G"(緑)の光源を作り出している

新モデルが搭載している主な機能のデモも行われていた。1つは3D機能で、フレームシーケンシャル方式による高品質な3D映像を視聴できる。アクティブシャッター方式の3Dメガネ「3D Glasses for CASIO Projector」、および2D映像を3D映像に変換するソフトウェア「CASIO 3D Converter」は別売となるが、大画面に投影できるプロジェクターと3D映像は相性がいい。

フレームシーケンシャル方式の3D立体視に対応

別売となるアクティブシャッター方式の3Dメガネ

プロジェクターの消費電力を大幅に削減できる「インテリジェント・ブライトネス・コントロール」も分かりやすい機能だ。周辺の明るさを自動検知し、プロジェクターからスクリーンに投影する明るさを5段階で自動調整する。基本的には、部屋が暗いときは表示も暗めに、明るい部屋では表示を明るくする動作だ。

各プロジェクターのワイヤレス通信対応モデルは、スマートフォンやタブレットデバイスのアプリ「MobiShow」をサポートしている。MobiShowをインストールしたデバイスから画像データなどをワイヤレスで送信し、プロジェクターで投影することが可能だ。例えばオフィスで利用する場合、プロジェクターを設置した会議室などへノートPCを持ち込んだり、ノートPCとプロジェクターをD-Subケーブルなどで接続する手間が省ける。

周辺の明るさに応じてプロジェクターの輝度を自動調整するインテリジェント・ブライトネス・コントロール機能

ワイヤレス通信対応モデルでは、スマートフォンやタブレットデバイスに保存した画像データなどを、ワイヤレスで投影可能

学校の教室といった教育現場では「インタラクティブ・ポインティング」機能が有用。別売の専用ペンを使うと、スクリーン上の投影画面に図形を直接書き加えたり、投影画面の一部分を拡大表示できる。専用ペンはPCの無線ポインティングデバイスとしても利用でき、PC画面を投影するシーンでもスムーズな操作やプレゼンテーションが可能だ。

インタラクティブ・ポインティング機能で用いる別売の専用ペン

投影画面上に図形などを直接描ける

描いた図形(円や楕円、直線、四角形など)は、自動的に整形される

投影画面の一部を専用ペンで指定し、その部分だけを拡大表示できる

また、プロジェクターと組み合わせて使うマルチプロジェクションカメラ「YC-470」も、業種や職種によっては必須の周辺機器だろう。立体物や書籍などを、プロジェクターで手軽に投影できるようになる。自動の傾き補正や色補正の精度が高く、原稿台に斜めに置いた文書を、すばやく補正してきれいに投影していた。また、YC-470のカメラでとらえた原稿を、静止画の画像データとしてPCに保存するスキャナ機能も搭載している(最大200dpi)。

マルチプロジェクションカメラのYC-470(写真左)。展示機のカメラ部分には、カシオ計算機のコンパクトデジタルカメラ「EXILIM EX-Z1200」が取り付けられていた。カメラを取り外して、普通のデジタルカメラとしても使えるという。原稿台に置いた文書(写真中央)。傾き補正や色補正が優秀で、すばやく補正してきれいに投影してくれる(写真右)

ラミネート加工もできるA3対応ページプリンタ

A3対応ページプリンタ「SPEEDIA GE5000」では、プリンタ本体で印刷物をラミネート加工するデモを実施。印刷物を市販のラミネートシートで挟んで給紙し、専用ソフトウェアで加工を実行すると、きれいにパウチ出力されてくる。市販のラミネートシートが使えることや、加工時の給紙場所として通常印刷と同じカセット給紙と手差し給紙が使えることなどが特徴だ。ラミネート加工もA3サイズまで対応している。

なお、専用ソフトウェアは7月中にカシオ計算機のWebサイトで公開される予定。専用ソフトウェアを導入することで、SPEEDIA GE5000がラミネート対応となる。

印刷物を市販のラミネートシートで挟んで普通に給紙し、パウチ出力できる

広い範囲を写せるネットワークカメラ

ネットワークカメラの「Q24M-Secure-D11」は、魚眼レンズの搭載によって360度の全方位監視をサポート。一般的な監視カメラの場合、監視する部屋の中でカメラの死角が生じたり、死角をなくすために複数台のカメラ設置が必要だったりしたが、こうした問題点がほぼ解消される。魚眼レンズの映像は歪んでいるが、PC上の監視ソフトが歪みを補正し、4分割画面などのさまざまなパターンで自然な映像/画像を表示できる。また、映像の記録先には、本体に装着するmicroSDカード、ネットワーク上のPCやNASなどを設定可能(記録映像の確認にはPCが必要)。

360度の広範囲を監視できるネットワークカメラのQ24M-Secure-D11

ビューワーソフトではQ24M-Secure-D11(魚眼レンズ)の映像をそのまま表示したり、歪みを補正して4分割の画面(別々の場所)などで表示可能