米AMDは6月1日、開催中のCOMPUTEX TAIPEI 2011にて記者発表会を開催した。同社Senior Vice President and General Manager Product GroupのRick Bergman氏はそのスピーチ上で次世代Fusionとされる「Trinity」(前年のLlanoの際の様なウエハではなく、パッケージ化済みのCPU)をポケットから取り出し、報道陣にお披露目した。

2012年のFusion APU「Trinity」を手にするRick Bergman氏

Trinityを拡大した写真。ヒートスプレッダ付きのパッケージ

TrinityはLlanoに続く第2世代のFusion APU。2011年に投入が予定されており、CPU部分がLlanoのK10ベースから、TrinityではBulldozer世代のコアへと置き換わる。Llanoは現在まだ正式発表されておらず、Bulldozerコアをベースとした製品に関しても、まだ市場未投入……という段階であるが、早くもLlanoの次世代となるAPUの姿がお披露目されたことになる。なお、Rick氏は常にTrinityのヒートスプレッダ側を報道陣に向けていたため、ピン側の状態は確認出来なかった。

Fusion APUのロードマップ。2011年に第1世代Fusion「Llano」「Ontario」「Desna」が登場し、2012年には早くも第2世代「Trinity」「Krishna」「Hondo」が投入される。TrinityによってAPUにもBulldozerコアが投入されることになる

来年2012年のFusion APUのロードマップも示された。現行のOntarioやDesna(タブレット向けとなるZシリーズ)は2012年中にアップデートされ、それぞれ「Krishna」「Hondo」に置き換わる。Innovative Form Factorsということなので、さらなる小型化・省電力化の可能性があると見て良いだろう。このようにFusion APUに関してはリフレッシュがほぼ1年置きの比較的短い周期で行われるようだ。

Llanoの登場を目前に控え、「AMD VISION」のブランディングに変更が加えられたことも紹介された。何が変わったかというと、2010年まではVISION ULTIMETE、VISION PREMIUMといった4段階のグレード分けだったところを、2011年では上級グレードから順にVISION A8、以下「A6」「A4」「E2」という同じく4段階のグレード分けになった点だ。合わせてロゴ自体もデザインが変更されている。一方、各VISIONのグレードで「体験できること」自体に変更は無い。また、VISIONのロゴに加え、グラフィックス性能を示すロゴも公開されている。

Llanoでは「A8」、「A6」、「A4」、「E2」とグレードが分けられる

VISIONのグラフィック・グレードを示すロゴ。これを見る限りLlanoはデュアルコアまたはクアッドコア、そしてDual Graphics(従来のチップセットにおいてはHybrid CrossFireXをDual Graphicsと呼んでいたが…)が存在するようだ

Fusionラインナップ。メインストリーム向けのAシリーズ、ウルトラモバイル向けのEシリーズ、ネットブック・タブレット向けのCシリーズ、Zシリーズ、そして組み込み向けのGシリーズと、計5つのシリーズで展開される

さて、2011年に話を戻すと、BulldozerコアベースのCPUに関しては、Trinityとは別に、「AMD FX」のブランドでハイエンド・デスクトップ向けに予定される「Zambezi」のスケジュールも明らかとなった。今回の説明ではリリース時期について、「late summer 2011」「60-90 Days from Today」と紹介している。つまり最短2カ月、最長3カ月ということになるので、どちらにしてもまだもうしばらく待つことになりそうだ。

Zambeziへの準備は着々と進んでいる。9シリーズ・チップセットがローンチされ、9シリーズ・チップセット&Socket AM3+対応マザーボードは今後30日内に続々と投入される予定。そしてZambeziに関しても90日以内に投入される

9シリーズ・チップセットは、Socket AM3+で現行CPUと次世代CPUに対応、2GPU、3GPU、4GPUでのCrossFireXをサポートし、SB950のSATA 6Gbpsポートは柔軟なRAID構成に対応する。また世界初のアンロックされた8コアデスクトッププロセッサというのがZambeziを指していると思われる