カナダのResearch In Motionは3月24日(現地時間)、4月19日に米国とカナダでの販売が開始される同社タブレット製品「BlackBerry PlayBook」について、開発プラットフォームの拡張を行うと発表した。従来までのBlackBerry開発の中心だったJavaやHTMLに加え、新たにC/C++によるネイティブコード開発が可能になり、IdeaworksやUnityなどのゲーム開発フレームワークの提供も行われるという。さらに「App Player」と呼ばれる専用ランタイムが提供され、ユーザーは既存のBlackBerry Javaアプリのほか、Android 2.3アプリの数々をBlackBerry App Worldを介してダウンロード/実行できるようになる。

今回の発表のポイントは大きく2点だ。まずC/C++によるネイティブコード開発環境が提供されたことにより、パフォーマンスに対してシビアなアクションゲーム等のアプリ開発が容易になったことが挙げられる。Ideaworks Labsの「AirPlay」やUnity Technologiesの「Unity 3」といったゲーム開発フレームワークが提供されたのもその一環で、PlayBookのネイティブアプリだけでなく、他のプラットフォームを含めたクロスプラットフォーム開発が容易になったことも意味する。そしてポイントの2つめはApp Playerの存在で、これにより既存のJavaベースのBlackBerryアプリだけでなく、Android 2.3ベースのアプリをPlayBook上で実行できる。Android Marketには接続できないため既存のカタログからのAndroidアプリ入手は難しいとみられるが、RIMでは同社アプリストアのBlackBerry App WorldからAndroidアプリの入手が可能であるとしており、クロスプラットフォームを主眼としたとした開発者であれば、作成したAndroidアプリをBlackBerry App Worldを含む複数のアプリストア(例えばAmazon Appstoreなど)に同時登録することによって、アプリ拡販の機会を得られることになる。

PlayBookについては比較的初期よりAdobe Systemsとの提携によるAIRランタイムやFlash技術の取り込みを進めており、既存のJavaやHTMLによるWeb標準技術だけでなく、Flashベースのアプリ開発を可能としていた。今回のC/C++開発対応の発表により、より多くのゲーム開発者を取り込む方策を示したこととなり、「ビジネス利用が中心のBlackBerry」といった印象を覆すコンシューマ市場攻略を睨んだ動きとなるだろう。だがアプリストア市場でAppleのiOSやGoogleのAndroidに対して後塵を拝しているという評価は変わらず、PlayBookローンチにおける最大の問題はアプリのラインナップ不足にある。同社ではPlayBook無料配布なども含めて開発者支援を積極的に行っているが、これを補完する役割を持つのが今回登場した「App Player」だ。既存のBlackBerryアプリに加え、さらにAndroidアプリの実行環境も用意することで、こうしたアプリ不足問題に対応していく。