7-9月期の決算発表ではスティーブ・ジョブズ氏の「7インチのAndroidタブレットはDOAだ」発言が話題になった。今回もスマートフォン向けであるAndroid 2.xを搭載したタブレットについて、クック氏が「スマートフォンをスケールアップだけの変てこな製品」と切って捨てた。しかしタブレット向けのAndroid 3.0 Honeycombを備えたタブレットについては、「まだ出荷されていないから、何ともコメントできない」と慎重だった。

AndroidとiOSは「オープンvsクローズド」の対立軸で語られることが多いが、Appleに言わせれば「分裂型アプローチvs統合型アプローチ」である。例えばAndroidには「いくつものアプリストアが存在し、バラエティ豊かな支払い方法やアプリのアップデート方法にユーザーは髪の毛をかきむしる」とクック氏。一方クローズドと批判されるiOSプラットフォームはシンプルで、ユーザーにとって分かりやすく、そして使いやすいとした。ほかにも最新バージョンのOSを使っているユーザー比率でiOSがライバルを大きく引き離しているなど、利用体験に関わる様々な調査データで統合的アプローチの効果が示されているという。タブレットについても昨年はライバルが存在しなかったためデータがないが、じきに統合型と分裂型の違いがユーザーの満足度の差となって現れると予言した。

今後の製品については、これまでと同じようにノーコメントを貫いたが、部品・部材に関して面白い発言があった。「設計について、市場にあるものを使う以上の革新を実現できるならば、われわれはコンポーネントを自らデザインする」。最近の例ではA4チップである。さらに「経営サイドではご存じのように、われわれは歴史的に部品供給や他のメリットを確保するために、異なるメーカーとパートナーシップを組んできた」と述べた。HDDからフラッシュメモリへの移行に乗り出した2005年にAppleは複数のメモリーメーカーと大型契約を交わした。それは「Appleのキャッシュ(現金)の素晴らしい使い方だったと、われわれ自身評価している」という。さらに「過去数四半期を通じて、われわれは他の分野への投資にふみ切った。これらには前払いや、プロセス用機器やツールの設備投資も含まれる。フラッシュの契約のときと同様、戦略的かつ集中的に進めている」という。

具体的にどのような分野なのかは明らかにしなかったが、東芝とシャープの名前が報じられた液晶パネルに関する大型投資かもしれないし、昨年Appleとの独占契約が報じられたLiquidmetalを指す可能性もある。いずれにせよAppleは次のサプライズに向けた大きな一手をすでに打っているようだ。