今後については、サービスのクラウド化とそれを支えるデータセンターの変遷に注目する。第1世代の単体サーバー、第2世代のラックマウント、第3世代のコンテナへと進化し、さらに第4世代として最適化を図ったサーバーへの移行が進む中、ハードウェアメーカーとの強力によりマイクロソフトとしてもその移行を進め、Windows AzureやOffice 365によってサービス提供も進めていくとした。

また、そのインターフェースとしては、今後はNUI(Natural User Interface)に向かうとして、その例としてXBOX 360で展開中のKinectを例として挙げた。加治佐氏はAndroidにおいてもNUIの研究が進んでいるといい、Androidでは顔や動きをハードウェアで処理するのに対し、マイクロソフトはソフトで処理を行いつつサーバーで解析するといったことを研究しているという違いがあると語った。

UIの進化はさらに進み、KinectのようなNUIへ向かうという

こういった研究開発について、マイクロソフト全体では1年間あたりで90億ドルを超える金額を研究開発に投資しており、これはIBMやCisco、Sony、Googleなどの同業他社を大きく上回る。マイクロソフト全体では、5年以上先の製品化を見込む技術に取り組む"研究者"を850人以上、3年以内の製品化を見込む技術に取り組む"開発者"を32,000以上擁しており、これは他の業界にはないモデルだという。研究分野は多岐にわたり、細かく分けると55の分野に及ぶとのこと。

同業他社に比べても多い研究開発投資(2009年のデータ)。2010年はさらに多く、95億ドルを超えるとのこと

取り組む分野も多岐にわたる。これらの研究においては、大学・研究機関との連携も重要

この研究開発に携わる日本のチームがマイクロソフト ディベロップメント株式会社で、現在250名が開発に従事している。以前のイメージとは異なり、現在は日本のパートナーと協力しつつ、グローバルで連携して「きちんと開発をしている」(加治佐氏)という。日本発のプロダクトとしては、IMEやOutlookのグループスケジューリング機能を例として挙げた。また、とくに大企業向け製品で求められるクオリティが高いため、大手町テクノロジーセンターを活用するなどして専門チームが検証などを行っている。日本における開発においては、前述のように国内のパートナーとの連携によって高い付加価値を提供することを重視している。

クラウドによって広がる注目分野として挙げたのは、「教育」「行政」「医療」「スマートグリッド」「農業」の5つ。このうち、「教育」「行政」「医療」については、ITがあるていど活用されているもののそれをさらに広げ、最新のものへの対応、クラウドでのデータ活用を進めていきたいという。「スマートグリッド」については次世代のインフラとして、可能性がこれから生まれる分野だとした。「農業」については、センサー技術やネットワークとの組み合わせで、もともと高い日本の農業の生産性をさらに向上させたいと語った。

最後に言及したのは、日本マイクロソフトが目指す企業像。「お客様に顔が見え、親しまれ、かつ尊敬される企業」「パートナーとの密な協業を推進できる企業」などを目標として挙げ、さらなる日本でのビジネス推進・企業市民としての定着・社会貢献を行っていくとした。

今後の注目分野として挙げた5分野。中核にあるキーワードが「クラウド」だ

2月1日に社名を変更して「日本マイクロソフト」となる。日本社会における企業市民としての立場を重視する姿勢のあらわれか