米Googleがモバイル決済システム市場への進出を検討していると、米Bloomberg Businessweekが1月4日(現地時間)に報じている。例えばスーパーなどでの商品の購入時に、携帯電話を専用リーダーにかざすことで決済が可能になるというもので、日本では「おサイフケータイ」の名称で知られる近距離無線通信を利用したシステムになりそうだ。

Googleは12月初旬に米カリフォルニア州サンフランシスコで開催された携帯イベントにおいて、Android OSの最新版「Android 2.3 "Gingerbread"」と、同OSを搭載した最新端末「Nexus S」を発表した。新OSの特徴はUI刷新やタブレット対応などいくつかあるが、最も大きな特徴の1つとして「NFC (Near Field Communications)」と呼ばれる近距離無線通信によるデータ交換の仕組みをサポートしたことにある。現在NFCは国際標準化されており、最新仕様では日本のおサイフケータイが採用しているFelicaを含む、複数のNFC技術を包含した上位互換を実現しており、実装しだいでは1つの端末から世界中に存在する複数のシステムで決済が可能だ。Nexus SにもこのNFC通信が標準搭載されており、米Google会長兼CEOのEric Schmidt氏は11月の発表会の中でNFCを利用した決済システムへの進出を意欲的に語っていた経緯がある。Bloombergでは2人の関係者からの話として、計画が水面下で実行されている旨を紹介しており、このNFCを利用して決済ならびに広告システムをGoogle自らが構築しているという。

同種のNFC型の決済サービスとしてはMastercardが「PayPass」などで先行しているほか、ライバルのVisaも2012年半ばをめどに商用サービス開始を目指しており、昨年2010年夏には米携帯大手3社がDiscoverやBarclaysなどと共同でNFCベースのモバイル決済システム構築を発表している。またBloombergによれば、米eBay傘下のPaypalも2011年後半をめどにNFCベースの決済システムを提供する予定だという。今後1-2年で、NFCベースのモバイル決済システムは一気にインフラが整うことになりそうだ。