パイオニアブースでは、「Ecology to NEXT STAGE~パイオニアの次世代エコロジー」をテーマに、次世代の車環境を提案する展示を行っている。中でも大きな比重を占めているのが、スマートフォンを使ったナビ「スマートクレイドル」、「HUD」、「非接触給電システム」だ。

現在、ナビ市場は、高機能なハイエンドモデルと、低価格なPNDとへの二極化が進行しており、とくに、ナビ機能のみを求めるユーザーを中心にPNDはシェアを拡大している。同社のナビ「カロッツエリア」は、現在、「サイバーナビ」「楽ナビ」「楽ナビLite」「エアーナビ」という4シリーズを展開している。このなかで、エアーナビが、このカテゴリーに属する製品。スマートクレイドルは、スマートフォンをナビに使うというもので、PNDのユーザー層をターゲットとしている。展示モデルには、同社のナビゲーションシステム「カロッツエリア」に搭載されている「スマートループ」機能が採用されており、「楽ナビ」と同程度のナビゲーション機能を実現できるとのことだ。

スマートループ機能の搭載により、専用機並みの効率的なナビをスマートフォンで実現する

燃費情報などの表示も可能

しかし、スマートフォンのディスプレイは、4インチ前後と、ナビとして使うには小さい。そこで同社が開発しているのが、「ネットワークビジョンヘッドアップディスプレイ」と呼ぶ「HUD」。スマートフォンの画面の内容を、フロントガラス前方に表示することで、視線の移動を行うことなく情報を把握することができるというものだ。会場に設置してあるデモでの視認性は、かなり良好だ。ただし、ここで問題になるのが、スマートフォンが操作のためのデバイスと表示のためのデバイスが一体化した、タッチオペレーションを前提とした機器であるという点。これに対しては、現在、カロッツエリアにも採用されている音声認識を中心とした操作になるだろうとのことだ。また、同ブースには、「フローティングビジョン」と呼ばれるインタラクティブサイネージシステムが展示されている。フローティングビジョンは、3次元で、物理的なタッチができる映像表示を行うというもので、将来的にこれをナビの操作系に融合させるという方法も考えているとのことだ。

必要な情報が、レーザープロジェクターによって前方に投射される。視認性は高い

物理的にタッチ可能な映像「フローティングビジョン」は、どのようなUIを作ることになるのだろうか

同ブースのもうひとつの目玉となっているのが、非接触給電による、EVやPHVへの充電。駐車スペースの下に設置したベースで、非接触で給電を行うというもの。現在、まだ、立ち上がったとは言い切れないEV市場だが、既存のEVは全てプラグイン方式を採用しており、給電ステーションももちろんプラグイン方式。しかし、非接触での給電には、プラグイン方式に比べて、利便性が高い、さらに接点が露出しないために安全性が高いといったメリットがあるとのことだ。ただし、当然のことながら、同社は自動車メーカーではなく、給電システムの開発や製品化には、自動車メーカーなどとの協力が不可欠となる。今回展示しているものは、まだモックの段階で、業界や行政に対しての提案という意味合いが強いとのことだ。

この上に駐車するだけで、EVやPHVに非接触で給電を行うことが可能になる予定

プラグイン方式に遜色ない効率を目指して開発を進めている