間もなく登場が噂されるAppleのモバイルプラットフォーム向けの最新版「iOS 4.2」のアップデートだが、iPadにとって初の4.xアップデートであると同時に、AirPlayなどいくつかの新機能が追加されている。その新機能の1つが、iPhone/iPadから専用アプリなしでプリンタへの印刷が可能になる「AirPrint」だ。しかしこの機能は、当初予定されていた機能の一部が実装されていない可能性があると、一部メディアが報じている。

AirPrintはiOS 4.2アップデートで加えられる新機能の1つで、Appleのアップデート予告のページでもその機能が目玉トピックとして紹介されている。機能のプレビューは9月初旬の音楽イベントで紹介されていたが、9月15日に改めて正式なリリースが発表され、その概要が説明されている。その説明によれば、この機能はiOSデバイスから直接プリンタ(現時点ではHP製プリンタのみ対応)への印刷が可能になるというもので、下記の文章にあるようにネットワーク対応プリンタへの直接印刷のほか、MacまたはPCを中継してそこにUSB接続された(あるいはそこで中継されている)プリンタを利用できる。これまでもHPや他のプリンタメーカーが提供するアプリを利用しての印刷は可能だったが、iOSそのものがプリンタをサポートする初のケースとなる。

AirPrint is designed to support a wide range of printers from entry level inkjet printers to office laser printers. Additionally, iOS 4.2 devices can print to printers shared through a Mac or a PC. iOS 4.2 compatible HP printers this fall include the HP Photosmart, Officejet, Officejet Pro and LaserJet Pro series ePrint enabled printers.

ところが、iOS 4.2リリースの直前になって、このAirPrintが実装されていないのではないかという噂が持ち上がってきた。例えばMacStoriesが11月10日に掲載したレポートでは、開発者向けの資料の中でMac OS X 10.6.5やPCを介して印刷する機能に関するリファレンスがすべて削除されており、AirPrintの実装が中断されたのではないかと予測していた。実際、前述のiOS 4.2アップデートを予告するページでのAirPrintに関する記述が最近になって書き換えられており、当初はAirPrintに関して「ネットワーク経由の直接印刷」「Mac/PC経由の印刷」の2つの機能を紹介していたものが、現在では前者の直接印刷のみ触れており、文章も一気に短くなっている。同様の話はPCWorldなども紹介しており、Mac OS X 10.6.5のプレリリース版に触れた開発者らが、AirPrintの中継印刷機能がサポートされていないことに気付いたと報じている。

もともとの中継印刷の機能についてはどのような実装が行われているのか不明な部分があるが、当初想定したほど多くのユーザーをカバーする機能にはならない可能性がある。しばらくは運用でカバーする形になるかもしれない。