--- まず、日本市場への全般的な取り組みについてお聞かせください

FileMaker Proの日本市場は世界的にみても規模が大きく、米国に次いで2番目、売上規模全体の1/4をカバーしています。グローバルな市場のなかで、とりわけ日本は非常に重要な拠点だといえます。日本向けのプロダクトはつねに高いクオリティが求められ、多くのユーザや開発者の方々へ使っていだくために、製品のローカライズは欠かせない状況です。

--- 今年新たに市場に投入されたFileMaker Goは、どういった市場をターゲットにされているのでしょうか

エプリング FileMaker Goの目標は、FileMaker Proと同様の市場を形成することです。つまり、中小企業や部門規模といった職場のエンタープライズ用途向けという場面で使っていただければと思います。現在FileMaker Proをお使いになられているお客様の中で、モバイルコンピューティングの必要性に迫られている方々が増えてきつつあります。いまはそういった方々にこのFileMaker Goを導入していただき、実運用に用いることができるか評価をしていただいている段階です。

エプリング もうひとつは、FileMakerを使ったことがない方々・企業です。いままでFileMaker Proを使っていなかった方でも「データベースを利用した生産性の向上」の身近な手段として、iPhone/iPadとFileMaker Goの組み合わせを検討していただければと思います。そしてそこから、FileMaker Proといったデスクトップアプリケーションを試していただき、さらなる運用の効率化につながればと考えています。

--- FileMaker Goに対するユーザからの感想はいかがでしょうか

エプリング たいへん好評をいただいています。既存のFileMakerアプリケーションをiPhone/iPad上で直感的に利用できることもあり、App Storeでの評価も高く、iPhone版/iPad版ともに平均4.5点。またユーザの方々だけではなく、モバイルコンピューティングのソリューションを展開するデベロッパや、そのコミュニティにも好評を博しています。

--- 日本の市場やデベロッパコミュニティでは、FileMaker Goの評判は上々だと感じています。他の国ではいかがでしょう

エプリング 私たちが出荷させていただいたすべての地域で好評をいただいております。日本のコミュニティでは以前から各種用語やユーザーインターフェースの日本語化を望まれていましたが、本日のオープニングセッションでご紹介したとおり、このたびリリースの運びとなりました(編集部注:FileMaker Goは11月4日のバージョン1.1.2アップデートにおいてユーザーインタフェースの日本語化に対応した)。

--- FileMaker Goが具体的に活用されている事例はもうあるのでしょうか

エプリング FileMaker Go自体が7月にリリースされたばかりなので、多くのエンタープライズ系企業ではまだ評価中という段階ですが、名古屋の病院で100台のiPadを導入し、FileMaker Goを展開しているという例があります。

オ・デル SQL ServerやOracleで管理されるデータを扱うESS (外部SQLデータソース)を、FileMaker 9から扱えるようになっています。つまりFileMaker Goを利用すれば、そういったデータにiPhone/iPadからアクセスできるわけです。これが企業での導入のひとつのきっかけになっています。

--- FileMaker GoはFileMaker Proなどに比べて価格が手ごろですから、新しいユーザーを開拓できるのではないでしょうか

エプリング 新しいユーザーを獲得するチャンスだということは確かです。ただ、それは価格が安いからということだけでなく、iPhone/iPadという新しいデバイスで、新しい可能性が広がっているからだと思っています。

--- 次期FileMaker Proはどういった製品になりますか

エプリング 私たちのポリシーとして、将来の構想などについてはコメントすることができません。申しあげられることとしては、私たちはつねに商品の開発にたいして多大な投資をおこなっているということです。具体的にはこの5-6年で開発チームなどのリソースを50%以上増強しています。