「CD革命/Virtual Ver.11 XA」の変更点をチェック

先ほどは「CD革命/Virtual Ver.11 XA」の概略を紹介したが、その一方で2009年にリリースされた「CD 革命/Virtual Ver.11」、新たにWindows 7をサポートした「CD革命/Virtual Ver.11 for Windows 7」と、今回の「CD革命/Virtual Ver.11 XA」の違いが気になるだろう。

大きな相違点となるのが、仮想CD構築時に使用できた「二重化セクタを取得」オプションと、CDライティング時の同オプションの廃止だ。そもそも一部の光学メディアには、不正使用を避けるためにコピーガードと呼ばれるプロテクトが施されている。だが、前述のような理由で購入した製品をバックアップとしてイメージファイル化し、ルール内で活用したいと考えるのはごく自然なことであるものの、無断複製して製品を購入しないという事象が存在するのも悲しい事実。この問題を回避するため、多くのソフトウェアベンダーは光学メディアにプロテクトを施すようになった経緯がある。

話を本筋に戻すが、「CD革命/Virtual Ver.11 XA」では「CD 革命/Virtual Ver.11」がサポートしていた多重化セクタ構造を持つ光学メディアの仮想化を諸般の事情で廃止した。具体的には、Alpha-ROMやTAGES、ROOTといったプロテクトを持つ光学メディアを仮想化することができず、対応しているプロテクトは、Ring、SafeDisc、SecuROM、StarForceとなる。なお、「CD 革命/Virtual Ver.11」などで二重化セクタを取得するオプションを用いて構築した仮想CDの挿入は可能だ(図14)。

図14 仮想CD構築時に使用できた「二重化セクタを取得」オプションが削られたため、

プロテクトによって選択できたプロファイル数も少なくなっている(画面右※1-2が「CD革命/Virtual Ver.11 XA」)

一見するとデメリットのように感じられるが、TOC情報や読み込みエラーの無視、サブチャンネルの取得など数多くの詳細設定を行なうことで、前述のプロテクトをベースに改良を加えたメディアにも対応できるのは従来どおり。デバイス名をチェックするプロテクトや速度判定を行なうプロテクトにも対応しているため、基本的な機能がおろそかになっているわけではない。そもそもAlpha-ROMプロテクトを用いているのは一部の美少女ゲームが多く、ビジネスシーンでコンピュータを用いる事が多い方には大きな問題にはならないだろう(図15)。

図15 <設定>メニューから<デバイス名の変更>を選択すると、仮想ドライブのデバイス名を変更できるため、デバイス名を確認するプロテクトに対応できる

そのほかの機能やユーザーインタフェースは、「CD革命/Virtual Ver.11」と大差なく、一部の不要と思われる機能が削除されたに過ぎない。同シリーズ Ver.8から搭載されていたネットワークで共有した光学ドライブから、仮想CDの構築を行なうリモートビルド機能の廃止と、インストール時に確認をうながされていた仮想CDドライブ数の変更機能が廃止されている。そもそもリモートビルド機能は、「CD革命/Virtualリモートビルドサーバ」の導入が必要だったが、導入可能はOSはWindows 2000とWindows XPのみ。クライアントとしては、Windows Vistaまでしかサポートされなかったため、大きな問題ではないはずだ。

確かに最近はダウンロード販売などが増え、以前ほど仮想ドライブを用いる場面は減っている。一見するとドライブ仮想化ソフトウェアの需要も減るように思えるが、ネットワークスピードの向上により、ISO形式ファイルをダウンロードする場面は増えてきた。「CD革命/Virtual Ver.11 XA」なら、一般的なISO(ISO9660)形式やCUE+BIN形式に加え、CloneCDで使用するCCD形式、neroのNRG形式、Disc JugglerのCDI形式もサポートしているため、はん用的なドライブ仮想化ソフトウェアとして役立つ。

また、使用頻度が高いISO形式ファイルは無圧縮状態であるため、メインストレージの空き容量をひっ迫する原因となりかねない。その点「CD革命/Virtual Ver.11 XA」が主として使用するFCD形式は、なし・標準圧縮・高圧縮の3段階で圧縮率を選択できるため、使用頻度の高いISO形式ファイルをFCD形式ファイルに変換しておけば、使い勝手もよくなるだろう(図16)。

図16 仮想CD構築オプションダイアログでは、作成するFCDファイルの圧縮率を指定できる

冒頭で述べたように、ゼロスピンドルマシンほどドライブ仮想化ソフトウェア導入によるメリットは大きい。SSDの普及やバッテリ駆動時間の延長が求められる昨今、「CD革命/Virtual Ver.11 XA」の導入は、デスクトップコンピューターにおける操作性の向上はもちろん、モバイルコンピュータの有利性も高めてくれるはずだ。