EMCジャパン テクニカル・コンサルティング本部 プロダクト・ソリューションズ統括部 マネージャ 中野逸子氏

EMCジャパンは9月22日、同社が提供するユニファイドストレージ「CLARiX」「Celerra」で構築する仮想化環境において、高い性能効率を実現するフラッシュドライブと、ストレージ管理を容易にする新機能の提供を開始した。同社 テクニカル・コンサルティング本部 プロダクト・ソリューションズ統括部 マネージャ 中野逸子氏は「EMCのユニファイドストレージは、プライベートクラウド構築を検討している企業にとってはまさに"お買い得"なストレージ。今回発表のキャッシュとしても利用できるフラッシュドライブと、APIレベルでVMwareと連携できるストレージ管理機能で、企業向けストレージとしてのスタンダードを確立した」と自信を覗かせる。

EMCのユニファイドストレージとは、1つの筐体内で異なるプロトコル、異なるディスクタイプを扱えるストレージのこと。Celerra(ブロック)、CLARiX(ブロック&ファイル)がこれにあたる

新価格のエンタープライズフラッシュディスク

今回発売されたフラッシュディスクは、これまでの標準価格ベースで最大30%減を実現、容量は100GBと200GBのタイプが用意されている。このエンタープライズフラッシュディスク(以下、EFD)を搭載することによって

  • EMC FAST(Fully Automated Storage Tiering)新バージョン … アクセス状況に応じてデータを自動的に再配置(自動最適化)
  • FAST Cache … EFDをストレージキャッシュとして利用
  • LUN単位のブロックデータ圧縮 … 最大50%のデータ圧縮

の3機能がユニファイドストレージにおいて新たに利用可能になる。

MCジャパン テクニカル・コンサルティング本部 プロダクト・ソリューションズ統括部 テクノロジー・コンサルタント 古舘良則氏

とくに興味深いのはEFDをキャッシュメモリのように利用できるFAST Cacheだ。もともと、ストレージは機種ごとによってキャッシュサイズが決まっており、それ以上追加することはできないため、上位機種に買い換えざるを得ない場合などが多かったが、このフラッシュドライブをストレージキャッシュのように使うことで、キャッシュサイズを最大2TBまで拡張することが可能となる。EMCジャパン テクニカル・コンサルティング本部 プロダクト・ソリューションズ統括部 テクノロジー・コンサルタント 古舘良則氏は「サーバからストレージへのI/O処理速度(FEスループット)のほうが、キャッシュからディスクへのI/O処理速度(BEスループット)より速くなると、ストレージのパフォーマンスは悪化してしまう。このボトルネックを解決する機能がFAST Cashe。最小64GBから最大2TBまでキャッシュサイズが拡張でき、Read OnlyモードとRead/Writeモードの両方が利用できる。EFDとFCやSATAなどのディスク間においては64KB単位でコピー/コピーバックが可能なので、アプリケーション起動の高速化などが実現する」としている。

ただし、EFDをストレージキャッシュとして利用する場合は、EFDを記憶媒体として利用することはできない。

中野氏は「フラッシュディスクは正直、まだ高価(FCの7 - 8倍)な製品ではあるが、今回の値下げと機能の大幅な向上で、フラッシュディスクのコストパフォーマンスを最大化できたと思っている」とコスト面での効果も強調する。EMCによれば、今回のEFD搭載により、最大30パーセントのTCO改善が期待できるとしている。

EMC Unisphireの改善とVMwareとの連携強化

ユニファイドストレージのファイルとブロックを共通管理する「EMC Unisphire」の機能が改善し、「これまでよりさらに強力な管理ツールとなった」(中野氏)という。ひと目でアクセスの状況(ファイルorブロック)を把握できる直感的なGUIとなり、少ないクリック数で共通タスクのストレージ管理工数を90%以上削減できるようになった。

物理環境とVMware環境との統合/連携もすすみ、APIレベルでの統合も実現している。VMwareが提供する「VAAI(vStorage APIs for Array Integration)」にユニファイドストレージが対応したことで、これまでサーバ側で行っていた処理をストレージ側にオフロードできるようになった。これによりサーバの統合率をアップし、VMware環境でのパフォーマンス(コピー高速化、ハードロック、書き込み削減)を向上させることが可能になる。「APIがなければ、読み込みの際にはアレイからホストにデータが移動し、書き込みの際にはホストからアレイにデータが移動する、の繰り返しになるが、APIがあることで、アレイ内でのデータ移動が可能になった。これにより仮想マシンを他のストレージのLUNへ移動させたり、テンプレートからの仮想マシン作成が高速で行えるようになる」(中野氏)という。また、CelerraおよびCLARiX対応の管理用プラグインが新たに提供され、VMware vCenterからVMware管理者がストレージを管理することも、ストレージ管理者がVMwareを管理することも可能になる。EMCによれば、わずか2クリックでVMware vCenter Serverからストレージをプロビジョニングできるという。

価格は「CLARiX CX4-120」「Cerella NS-120」、いずれも最小構成366万円からとなっている。

Cerella NS-120

CLARiX CX4-120