Fusion Applicationsのプレビューも公開。5年の開発期間を費やし、業界標準の最新技術をふんだんに用いたモジュラー型アーキテクチャを標榜している

OOW開催前日にもかかわらず、今回のEllison氏のキーノートは内容盛りだくさんだ。「詳細は水曜日(現地時間で22日)」と前置きしながらも、昨年あたりから少しずつ概要を紹介している「Fusion Applications」の簡単なプレビューを行った。

Fusion Applicationsは、OracleのPeopleSoft買収が実現した2005年にそのコンセプトが発表され、両社のアプリケーション製品ラインナップを将来的に統合する新しい製品群として紹介されたものだ。だが後にOracleは「Applications Unlimited」戦略を発表し、既存アプリケーション製品ユーザーの将来のアップグレードパスを保証した。同じジャンルの別製品への移行を強要されるのではなく、望むユーザーに対して既存の製品ラインのアップデートを提供していく顧客第一主義の取り組みだ。とはいえ、既存製品のメンテナンスだけではソフトウェアの進化は止まってしまう。そこで各々の製品が強みを持つリソースを集めつつ、最新のWeb技術やアイデアを集め、まったく新しいアプリケーション製品として開発が進められたのがFusion Applicationsとなる。この当時から開発がスタートし、トータル5年の開発期間を要したことになる。

「ERPやCRMといった既存のアプリケーションのほとんどは過去20年近くにわたって同じものが使い続けられ、すでにシステムのライフサイクルを考えれば古いものとなってしまっている。新しいといわれるSalesforce.comでさえすでに10年が経過している。Fusion Applicationsはあらゆる製品と比較して完全に新しく革新的なアーキテクチャを採用している」とEllison氏は述べ、刷新されたアーキテクチャをアピールした。

同氏はFusion Applicationsの提供時期を2011年第1四半期と予告しており、ターゲットとしている分野のアプリケーション100種類以上をすべて一斉リリースする計画だという。これだけの製品が一度にリリースされるのは非常に珍しい話だが、より詳細な話は同氏の22日のキーノートを基にフォローしていこう。

バージョン1でターゲットとなるアプリケーション群。各アプリケーションの構成要素とその膨大さをアピールする表

これら100以上のアプリケーションモジュールはすべて2011年第1四半期に一斉リリースされる。Ellison氏によれば、これはアプリケーション業界でも初の例だという

Fusion Applicationsリリース後も、既存のアプリケーション製品はApplications Unlimitedでの公約通り継続リリースされる。無限のアップデートが保証されるわけではないが、システムのライフサイクルを見極めて移行のタイミングを選ぶのはユーザー自身だ

Fusion Applicationsダッシュボードのサンプル