唐突だが、筆者は「バックアップ魔」である。そうなった経緯について書き始めると長いので省略するが、データの二重化ぐらいでは納得せず、三重化、ときには四重化までしており、「自宅が倒壊しない限り、データ喪失はない」と豪語(?)している。
そこまでするのは常識外れだが、機器の物理的破壊、うっかり削除、データの論理的破壊、ウイルス感染などの理由から、貴重なデータを喪失するリスクは誰にでも存在する。プログラムはインストールし直せばよいが、データはそうはいかないので、可能な限りの保全策を講じておきたいところだ。
しかし同時に、データの保全策には相応の手間と費用がかかる。費用の問題はまだしも、手間の問題は大きい。実際、多くの人がデータをバックアップする必要性を認識しつつもサボってしまうのは、バックアップにかかる手間が大きな理由になっているためだろう。つまり、できるだけ少ない手間でデータの保全策を講じることができなければ、データを喪失するリスクは回避できないということになる。
そこで注目したいのが、バッファローの新製品「TS-XHL/R6VC」だ。いわゆる「テラステーション」シリーズの新製品で、4台のHDDを内蔵している。この4台のHDDはRAIDコントローラにつながっており、RAID 0/RAID 1/RAID 0+1/RAID 5/RAID 6のいずれかに設定できる。また、「TS-XHL/R6VC」はHDDのホットスワップが可能なので、故障したHDDは迅速に交換でき、HDDの故障や物理的破損によるデータ損失のリスクを低減できる。
RAID 1(ミラーリング)では、利用可能な容量が実質的に半減してしまうので、容量・速度・データ保全を両立させるには、RAID 5かRAID 6を利用するのが現実的だろう。出荷時の既定値がRAID 5になっているのは、理に適った判断といえる。
ただし、RAIDは基本的にHDDの故障・破損に対する備えであり、RAID 1以外ではデータの多重化にはならない。そのRAID 1でも、同じものを二重化するだけで、世代管理にはならない。ところが、その点でも「TS-XHL/R6VC」は配慮が行き届いている。バックアップ機能を充実させている点がこの製品の特徴で、バックアップに使用するデバイスとバックアップ方法の組み合わせにより、以下の組み合わせを実現している。
・USB接続の外付けHDDに対するバックアップ
・LAN接続のテラステーションに対するバックアップ
・LAN接続のテラステーションに対するレプリケーション
「バックアップ」は指定した任意のタイミングで動作するのに対して、「レプリケーション」はリアルタイムで動作するという違いがある。なお、レプリケーションを利用できるのは、この機能に対応したテラステーション同士に限られるため、USB接続の外付けHDDではバックアップしか利用できない。
テラステーション同士でバックアップ/レプリケーションを行う際には、イーサネットを使って直結する。そのため、「TS-XHL/R6VC」は「LAN1」「LAN2」と2個のインタフェースを備えており、後者をバックアップ/レプリケーション先との接続に使用する。また、その際にLAN1ポートとLAN2ポートには、独立したネットワークアドレスを割り当てる。