ルータの重要な役割の1つに、セキュリティ機能を提供してくれる点が挙げられる。無線LANの場合、無線で飛び交うデータを保護するためには暗号化が必要になっており、現在はWPA2を利用するのが一般的になっている。
しかし、携帯型ゲーム機でWPA2が利用できず、暗号としては弱いWEPしか使えない機器があり、そうした機器を使う場合、無線LAN全体の暗号化を脆弱なWEPに設定しなければいけなかった。WEPはほとんど一瞬で暗号か解読されてしまう脆弱な暗号化機能のため、これを悪用されると、メールやWebサイトに入力した個人情報などのデータが盗み見られてしまう危険性がある。
WR8700Nでは、2つのSSIDを仮想的に用意する「マルチSSID」機能を備えている。もともとWR8700Nは2.4GHz帯と5GHz帯の2つのSSIDがあるが、それぞれに2つの仮想SSIDがあり、合計4つのSSIDを利用できるようになる。
デフォルトでは末尾に「W」が付くのが仮想SSIDで、この仮想SSIDと標準の(末尾にWが付かない)SSIDとはネットワーク的に分離されているため、こちらは脆弱なWEPにして、仮想SSIDではない方では安全なWPA2を使うという方法が利用できる。
仮想SSID側のWEPはないよりマシな程度だが、携帯ゲーム機の一部の情報は盗み見られてもそれほど致命的ではないので諦め、盗み見られては問題のあるPCなどのネットアクセスはWPAで防御する、という使い方ができる。
こうした使い方を簡単に行える「らくらく無線スタート」機能も搭載している。プレイステーションポータブル(PSP)、ニンテンドーDS、プレイステーション3、Wiiといったゲーム機では、対応機器のらくらく無線スタート機能を利用すれば、暗号化の設定も含めて簡単に無線LANの設定ができる。
PCの場合は、同じらくらく無線スタートボタンからWPS(Wi-Fi Protected Setup)を利用した設定が可能。WPSのPINコードを使って簡単に設定ができる。
そのほか、セキュリティ機能としては、ダイナミックポートコントロール、IPパケットフィルタリング、不正アクセス検出機能といった機能、さらにネットスターが提供するフィルタリング機能を使った「悪質サイトブロック機能」を備えており、ルータレベルで特定のWebサイトへのアクセスをブロックすることができる。ただし同機能の利用は1年3,150円などとなっている。
WR8700Nは、高速で安定した無線LAN通信を可能にするために、2.4GHz帯と5GHz帯の2つの802.11nをサポートし、さらにそれを活かした無線LANコンバーターを用意することで、テレビの無線化も手軽に行えるようになっており、安定した無線LANで映像配信サービスも快適に利用できる。
ルータを購入する際は、単なる速度だけでなく、安定して通信できるかどうかも重要だ。特に最近は放送局らによる映像配信、DLNAによる録画番組の家庭内配信も気軽に行えるようになったが、肝心のテレビが有線LANしか使えないと、設置が大変で活用できていないという人もいるだろう。
WR8700Nは、オプションの無線LANコンバーターを使えば、簡単にテレビを無線化し、しかも映像を安定して配信できるので、違和感なく番組を閲覧できる。無線でも高速にインターネットを利用したいという人だけでなく、家電の無線化をしたいという人にお勧めしたいルータだ。
AtermWR8700N(HPモデル) | |
1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T(Auto MDI/MDI-X対応)×1 | |
1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T(Auto MDI/MDI-X対応)×4 | |
USB 2.0×1 | |
IEEE802.11a/b/g/n | |
SSID、WEP(152/128/64bit)、WPA-PSK(TKIP/AES)、WPA2-PSK(TKIP/AES) | |
W35×D128×H160mm/約0.4kg | |
Windows、Mac OS、Linuxなど、TCP/IPプロトコルに対応したOS | |
12,999円(AtermWR8700N(HPモデル)親機単体)、19,992円(AtermWR8700N(HPモデル)イーサネットコンバータセット)、15,981円(AtermWR8700N(HPモデル)USBスティックセット) |