シャープは8月18日、中国・北京市内のホテルにて、4原色技術「クアトロン」を採用したAQUOSクアトロン3Dの新製品2機種(60型、52型)と、3D対応BDプレーヤーの発表会を開催した。菅野信行 常務執行役員 中国本部長、寺川雅嗣 執行役員 AVシステム開発本部長らが出席し、現地マスコミ記者120名以上を集めて発表を行った。

中国・北京市内のホテルにて発表会場にて

菅野信行 常務執行役員 中国本部長は、「液晶技術は、長い歴史の中でも、特にここ最近で、急速な進化を遂げています。昨年9月には、従来の液晶技術を一新する、液晶分子の向きを精密に制御できる光配向技術「UV2A技術」を開発しました。さらに、先般7月20日に発表した四色技術により、鮮やかな色彩表現とともに消費電力の低減を達成する液晶テレビを開発しました。このUV2A、四色技術は10年に一度と言われる液晶パネルの最先端技術です」と語り、「この度、この「四色技術」を『Quattron』(クアトロン)と命名しました。『Quattron』とは、イタリア語で数字の「4」を表す「Quattro」に「電子のElectron」を組み合わせて当社で考えた名称です」と発表した。

菅野信行 常務執行役員 中国本部長

また、同社の3Dへの取り組みについて、「当社は、1992年にヨーロッパ研究所(SLE:オックスフォード)で立体表示をテーマに研究開発を開始。2002年には、世界で初めて携帯電話に2D/3Dの切り替えが可能なカラー液晶を搭載しました。また、2003年には、3D対応液晶を搭載したノートPCを世界で初めて発売致しました。まさに「3Dのリーディングカンパニー」と自負しております」と、これまでの3D技術の蓄積が新商品の礎となっていることをアピールした。

3Dテレビの世界需要については、「ある調査機関のデータでは、2012年には1000万台を超え、コンテンツや周辺機器の拡がりとともに、市場が大きく拡大すると見られています。これほどまでに期待が高いのは、3Dテレビの立体映像が「人類の夢」だからです」と、その可能性の大きさを強調した。

AQUOS Quattron 3D(LV925シリーズ)と3D対応BDプレーヤー(BD-HP90D)。価格は、LCD-60LV925Aが約36,000元(約45万円)、LCD-52LV925Aが約26,000元(約34万円)。BD-HP90Dは価格未定

従来の3Dテレビの弱点といわれた「明るさが不足」「クロストークと呼ばれる、像が二重に見える現象」「映像の鮮やかさに乏しい」などについては「昨年より液晶ディスプレイに採用している「UV2A技術」、そして先般発表した「四色技術」に、「FRED技術」「スキャニングバックライト技術などの技術を融合させることにより解決し、明るく、色鮮やかでクロストークの少ない3D映像を実現しました」と語り、それら4つの技術全てを搭載した、3D対応のAQUOS LV925シリーズ2機種を発表。中国市場では9月上旬より発売することを発表した。

同時に、3D対応のBDプレーヤー<BD-HP90D>も中国市場に展開する。これは、同社として初めて中国に投入するBDプレーヤーとなる。3Dを楽しむ上で欠かせない、パッケージメディアについては、ワーナー中国とパートナーシップを結び、四色技術3Dにふさわしいソフトを提供するという。その第一弾として「3D対応の液晶テレビLV925シリーズを購入されたお客様に、ワーナーが4月16日から劇場公開している3D映画「タイタンの戦い」の3D版BDソフトをプレゼントします」としている。

中国における同社液晶テレビの販売台数は、118万台(2009年度実績)、240万台(2010年度計画)。2010年度は「前年比で2 倍以上を目指す」という。クアトロン3Dは、日本での発表に続き、中国が2番目。今後、アメリカや欧州も同時に展開していく予定。