次世代のNortonはあらゆるデバイスでの安全性を確保する

シマンテックは先月「Next@Norton」と題し、メディア向けに開催された次世代の製品構想の説明を行った。席上では既に同社Web上でベータ版として配布されている2011年度版の「ノートン インターネット セキュリティ」や「ノートン アンチウイルス」で実装される技術、機能などについてシマンテック コンシューマ事業部門日本/韓国担当リージョナルプロダクトマーケティングシニアマネージャの風間彩氏、シマンテック プロダクト・マネジメント部門ディレクターのダン・ナディール氏両名によって解説された。また、シマンテックの新たなセキュリティに対する戦略の根幹を成す「Norton Everywhere」構想についても説明がなされた。

4月より公開されている2011年度版のノートン製品(パブリックベータ版)をこちらからダウンロードすることが可能だ

既存のレピュテーション技術の更なる強化

「Next@Norton」席上で風間氏は「レピュテーション技術の更なる強化」を目指すと述べた。レピュテーション技術とは、ウイルスのパターンファイルを逐一更新する必要なく、クラウド上に蓄積されたデータを基に「評価=レピュテーション」するという技術を用いて迫り来る脅威を防ぐというプラットフォームだ。シマンテックが持つ情報に加え、ノートンユーザーからの情報を吸い上げることによって、秒単位で生み出される脅威に対抗していこうという先進的な試みだ。

Nortonインサイトとして実装されているレピュテーション技術。

ノートンユーザーの世界的コミュニティ「Norton Community Watch」からの情報をベースにウイルス定義(シグネチャーベース)以上の保護性能を発揮する

レピュテーション技術の仕組みは、"本当にそのWebサイトは信用たり得るのか?"といった判断をサポートしてくれる「セーフウェブ」機能にも活かされるという。近年、悪意ある者たちの攻撃手法はより巧妙になり、悪意あるプログラムをダウンロードさせる、IDやパスワードを盗み取る、といったWebサイトベースでの手口が増加の一途を辿っている。

なかでも、検索エンジンの裏を突いた"SEOポイズニング"は、悪意のあるWebサイトを検索結果の上位に表示させるよう仕向け、より広範囲に悪意を伝播させるといった仕組みで、ダン・ナディール氏の言葉によれば「あるキーワードの検索結果の上位のほとんどが悪意のあるWebサイトだった」ケースもあるというから驚きだ。

「セーフウェブ」機能はさらに強化され、2011年度版ではより精度の高い保護を実現しているという。また、「ダウンロード インサイト」においては対応ブラウザが拡充されるなどの進化を遂げているのが特徴だ

また「ダウンロード インサイト」機能でもレピュテーション技術の恩恵を受け強化された。対応ブラウザの拡充はもちろん、電子メール、インスタント・メッセンジャーと幅広いクライアントを保護し、有害なファイルのダウンロードをブロックしてくれるという。

シマンテックが誇る"レピュテーション"というコア技術を研鑽し、より強固に、そしてあらゆる脅威に対して柔軟にユーザーのPCを保護していく。2011年度版のノートンシリーズは正常進化を遂げるというわけだ。

ウイルス感染という万一の事態からの復旧支援との統合

2011年度版のノートンシリーズの特徴はレピュテーション技術だけに止まらない。万一、悪意あるプログラムによってシステムが正常に起動しない最悪のケースにおいてもユーザーを保護するツールを展開していくという。「ノートン ブータブル リカバリ ツール」の搭載によって、CD、DVD、USBメディアでの起動を迅速かつ簡単な方法でサポートする。さらに、セキュリティの網をかいくぐり"正当なプログラムになりすました不当な働きをするプログラム" を効果的に検出・駆除が行える「ノートン パワー イレイサー」が盛り込まれる。

スパイウェアによる脅威、フィッシングによる脅威など、様々な技術を巧みに組み合わせたサイバー犯罪から、これらのツールによってオールインワンでの保護を実現してくれるのが2011年度版のノートンシリーズの姿と言えるだろう。

スマートフォンを筆頭に、新たなインターネットデバイスも保護していくという「Norton Everywhere」構想

時代の流れ。そう表現して差し支えないと思うが、シマンテックは新たなセキュリティ戦略を構築しているという。それが冒頭でも触れた「Norton Everywhere」構想だ。

「Norton Everywhere」構想は、PCだけではなくスマートフォンをはじめとする新たなインターネット接続デバイスでの安全性を確保するというもの。中核を成すのは、携帯電話向けのセキュリティツール「ノートン モバイル」、PC以外の機器でDNSを用いたセキュリティ機能を提供する「ノートン DNS」、そして既にAndroid端末向けにベータ版提供されている「Norton Smartphone Security」に代表される「ノートン フォー スマートデバイス」の3つのサービスで、数多あるインターネット接続デバイスを脅威から保護していくという。

「Next@Norton」席上にてXperiaでデモンストレーションされた「Norton Smartphone Security for Android」。Android Marketよりダウンロード可能だ

生活を豊かにしてくれるインターネットは、今や様々なデバイスでアクセスすることが可能となった。今後も、様々な機器がインターネットへの接続が予想されており、悪意ある者たちの攻撃は多様化していくだろう。そういった迫り来る脅威から我々を守ってくれるノートンシリーズの進化、シマンテックのセキュリティ技術の進歩にこれからも注目していきたい。