Linux Foundationは7月26日、都内でセミナー「MeeGo Seminar Summer 2010」を開催した。

MeeGoは、Intel社の「Mobilin」、Nokia社の「Maemo」を統合したLinuxベースのモバイル向けOS。2010年2月に「MeeGoプロジェクト」が発表され、Linux Foundationが運営を行っている。本稿では、ジェネラルセッションとして行なわれた、Linux Foundation エグゼクティブ・ディレクターのジム・ゼムリン氏による講演の模様を紹介する。

講演するLinux Foundation ジム・ゼムリン氏

ゼムリン氏は講演の冒頭で、今日様々なところでLinuxが使われていることを強調。PCやサーバー、モバイル機器など多くの端末で利用されていることに加え、証券取引所や空港の管制塔といった様々な場面でも利用されていることを紹介した。また、Linuxを組み込んだ自動車や、Linuxで構築された交通システムなどについて触れ、日常生活にLinuxが深く関わっていることを印象付けた。

Linuxのビジョンについて、ゼムリン氏は「すべてのOSをLinuxにするのではなく、Linuxにより、すべてを繋げていくのが目標」と述べた。また、現在10億人というインターネット人口が、いずれ倍の20億人になるとし、その拡大するネットワークでベースとなるのはLinuxであると主張。電子機器への組み込みOS、ネットワーク、スーパーコンピューター、モバイル端末といった各分野でLinuxが使われると述べた。

ゼムリン氏はさらに、自動車やカメラなどコンピュータ以外の業界・企業がLinuxに注目し、使用する理由について、誰の許可も必要とせずに使えることや、無償で利用できるため開発費を節約できることを挙げた。また、携帯電話業界についても、端末が複雑なコンピュータになったこと、サイクルが短く端末がすぐに陳腐化するようになったことを大きな問題として取り上げ、「解決策はオープンソースを使うこと。オープンソースを使わなければ生き残れない」と述べた。

MeeGoは様々な端末で利用できるのが特長のOS

そして、ゼムリン氏はLinuxをベースとしたOS「MeeGo」を紹介。これからはコンピュータの定義を改める必要があると述べ、スマートフォンやテレビ、自動車もコンピュータであるとし、それらの様々なハードウェアをサポートしているのが「MeeGo」だと述べた。また、ひとつの団体のみが開発を牽引しているわけではないこと、OSのコードだけでなくアプリのマーケットを提供していることを特長として挙げた。

さらにゼムリン氏は、将来的には、ハードウェアが無償となり、サービスから金銭を得るという、サービスベースの経済に移行するだろうと予測。その中で、MeeGoなどのLinuxがリーダー的な存在になるだろうと述べた。

会場ではMeeGoを搭載したタブレット端末などが展示された