いつでも復元できる「Acronisノンストップバックアップ」

前述したスケジューリング設定を行えば、定期的にバックアップを作成することは可能だが、より簡単にバックアップを作成し、必要に応じて過去の状態に復元するのが「Acronisノンストップバックアップ」だ。

Windows 7にも「システムの復元」という機能が備わっているが、同機能はあくまでもシステムファイルを中心とした部分的なスナップショットを作成しているに過ぎず、Acronisノンストップバックアップのようにベースとなるバックアップイメージを元に増分バックアップを行う訳ではないため、復元性は必然的に乏しくなってしまう。その点、Acronisノンストップバックアップは、増分したバックアップデータも日単位で自動統合するため、以前の状態に完全復活できると同時にバックアップデータの肥大化も防いでくれるのだ。

もう一つ述べておきたいのが、同機能で使用する増分バックアップは少々異なり、ファイル単位での差分を検出する仕組みを備えることでフォアグラウンドアプリケーションへの負荷を軽減している。例えば巨大な電子メールの送受信データをワンファイルで管理している場合、同ファイルは更新頻度も高いため、バックアップ作業時の負荷も高まってしまう。

だが、同機能は更新されたファイル全体をバックアップするのではなく、新しいバージョンと古いバージョンの差分のみをバックアップするため、ストレージ消費の軽減とパフォーマンスの低下を防いでいる。なお、保護対象となるボリュームのバックアップデータは、過去24時間分が保持されるが、それよりも古いバックアップデータは日単位で統合され、過去30日分を保持する仕組みだ。

Acronisノンストップバックアップは、初期状態で無効になっているため、最初に有効化操作を行わなければならない。メイン画面の「バックアップ」から「ノンストップバックアップ」を選択し、ボタンをクリックすると同機能が有効化し、初期設定をうながされる。「ノンストップバックアップオプション」ダイアログで確認すると、自動的にホストドライブが保護対象となっているが、ほかのボリュームを選択することも可能だ。

後は画面の指示に従って保護対象となるボリュームのイメージを作成すれば、Windows 7を含むシステム全体やユーザーファイルなどに行われる変更が五分間隔で保存されるため、いつでも直近の状態に復元することが可能になる(図32~35)。

図32 「Acronis True Image Home 2010」のメイン画面から「バックアップ」→「ノンストップバックアップ」とクリックし、<ノンストップバックアップはオフです>ボタンをクリックする

図33 初期設定を行うダイアログが起動し、

保護対象となるボリューム(自動的にホストドライブが選択)と、バックアップデータを格納するボリュームの確認をうながされる

図34 「除外項目」では、バックアップオプションの除外ファイルと同じように対象から除外するファイルやフォルダの選択が可能。一時フォルダやインターネット一時フォルダなどを選択するとよい

図35 最初にベースとなる保護対象ボリュームのイメージファイルが作成される

プログレスバーで進捗状況を確認しながらお待ち頂きたい。完了後は<閉じる>ボタンをクリック

Acronisノンストップバックアップストレージからファイルを復元する方法として、「Time Explorer」とリカバリウィザードの二種類が用意されている。前者は文字どおりエクスプローラ風のユーザーインタフェースを持ったツールからファイルやフォルダを復元するというものだ。ウィンドウ下部には日付および時刻を選択する操作領域が用意されているので、復元したい日時とファイル・フォルダを選び、右クリックすると表示されるメニューから<リカバリする>を選択すればよい(図36~37)。

図36 「Acronisノンストップバックアップ」が有効になると、タスクバーの通知領域にアイコンが加わり、同アイコンをダブルクリックすれば、ファイル・フォルダ単位で復元する「Time Explorer」が起動する

図37 「Time Explorer」が起動したら、対象となるファイルやフォルダを右クリックし、メニューから<リカバリする>を選択する

リカバリウィザードもファイル・フォルダ単位の復元が可能だが、先のTime Explorerを用いた方が簡単なため、システム全体の復元時に使用したい。同ウィザードは次回以降詳しく説明するため、ここでは簡単な手順のみ紹介する。ウィザードを実行し、コンピュータの再起動を行うと後は自動的に処理が進むので、復元に要する時間は少々長いが、離席しても問題ないだろう(図38~47)。

図38 すると「フォルダー参照」ダイアログが起動するので、復元先となるフォルダ(デスクトップなど)を選択して<OK>ボタンをクリック

図37で選択したファイルはこれで復元された

図39 システム全体をリカバリする際は、「Acronis True Image Home 2010」のメイン画面から「リカバリ」をクリックし、列挙されるノンストップバックアップstorageを右クリック。メニューから<リカバリする>をクリック

図40 これで「リカバリウィザード」が起動する。最初に<ディスクまたはパーティション全体をリカバリする>が選択されているのを確認してから<次へ>ボタンをクリック

図41 次に復元するタイミングをカレンダーと時刻一覧から選択し、<次へ>ボタンをクリック

図42 復元する項目の選択をうながされたら<ディスク1>をクリックして、ボリューム全体およびMBRを選択。この状態で<次へ>ボタンをクリック

図43 今度はパーティションに対する設定をうながされるが、そのまま復元する場合は初期状態のままでよいため、<次へ>ボタンをクリックする

図44 するとMBRの復元先をうながされるので、バックアップ元となるドライブを選択し、<次へ>ボタンをクリックする

図45 最後に一連の設定内容の確認をうながされるので、よく内容を確認し、問題が内容であれば<実行>ボタンをクリック

図46 コンピュータの再起動をうながされるので、<再起動>ボタンをクリックしてコンピュータの再起動を実行する

図47 Acronis True Image Home 2010の独自環境が起動し、復元処理が行われる。プログレスバーで進捗状況を確認できるが、復元処理を終えると自動的にコンピュータが再起動するので、離席しても大丈夫だろう