ヤマハは29日、AVレシーバー「RX-V767」を発表した。発売は8月上旬で、価格は8万4,000円。また、iPod用のワイヤレスシステム「YID-W10」も同時発表。こちらも、8月上旬発売。価格はオープンで、市場価格は2万円前後と予想される。

VPS機能の搭載により、普通の5.1ch/7.1ch環境でも、上下方向の広がりを体験できる「RX-V767」。カラーは、ブラックとゴールドの2色が用意される

RX-V767は、昨年6月に発売された「AX-V765」の後継となる、7.1chのAVレシーバー。RX-V767の最大の特徴となっているのが、新開発の「VPS」(バーチャルプレゼンススピーカー)機能の採用。AX-V765は、このクラスとしては初めて「シネマDSP-plus」の「3Dモード」を搭載した製品だった。3Dモードは、ソースの情報に、高さ方向の音場データを加えるというもので、フロントスピーカーの上に、フロントプレゼンススピーカーを設置することで、前後左右だけでなく、上下方向への音の広がりを表現するというもの。3Dモードは、シネマDSPのモードの一つなので、映画や音楽などのコンテンツで、普通に利用可能だ。新モデルのRX-V767に搭載されるVPS機能は、3Dモードの再生に必須だったフロントプレゼンススピーカーを、センタースピーカーと、リアに設置された2本のサラウンドスピーカーの音から、仮想的に作り出すというもの。通常の5.1ch、あるいは7.1ch構成のシステムで、手軽に3Dモードを利用できるようになった。

また、3D映像信号のパススルー伝送や、ARC(オーディオリターンチャンネル)などの最新規格にも対応。もちろん、HDMIコントロールにも対応しており、主要メーカーのテレビやレコーダーなどとの連携操作も可能だ。HDMI端子は、6入力(1系統はフロント)/2出力を装備。出力先はリモコンで切り換え可能だ(両方のHDMIに同時に出力することも可能)。従来のAX-V765同様、480iから1080pまでのアップスケールにも対応している。また、メイン電源とは別に、HDMI回路専用電源を搭載。接続したレコーダーやテレビなどを、メインの電源をスタンバイ状態にしたままで利用できる。スタンバイスルー時の消費電力は2.7W以下。

オーディオ部分、電源部分は、カスタムPPコンデンサーの採用、大容量のトランスや防振ケースを施したブロックコンデンサー、大電流ショットキーバリアダイオードの採用など、AX-V765をベースにした高音質化チューニングが行われている。実用最大出力は、135W×7(6Ω)。また、ミュージックエンハンサーとシネマDSPとの併用にも対応。ミュージックエンハンサーによる非可逆圧縮された音声信号の補間に、シネマDSPによる空間表現を加えることで、より臨場感の高い再生を実現。デジタルオーディオプレーヤーからの音楽再生だけでなく、ゲームやデジタル放送の音声再生にも効果を発揮する。

同時発表した「YID-W10」は、iPodやiPhoneをRX-V767にワイヤレスで接続するためのアクセサリー。iPod/iPhoneに保存されたコンテンツを、離れた場所にあるRX-V767で高音質再生することが可能になる。手元に置いたiPod/iPhoneで、RX-V767の基本操作も可能だ。また、YID-W10では、リニアPCMでの伝送を実現している。伝送可能な信号は音声のみだが、iPod/iPhone側で動画再生を行い、音声はRX-V767で再生といった場合でも、AirWired技術による高速伝送により、音ズレが発生しない。

リニアPCMでのワイヤレス伝送を実現するiPod/iPhoneアダプター「YID-W10」