東京 表参道に開かれていたアドビの期間限定ギャラリー「station 5」にて、ワコムの液晶ペンタブレット「Cintiq 21UX」を使ったライブペインティングが行われた。写実的なイラストを描き続けている人気イラストレーター 有田満弘氏が「Photoshop CS5」を使ってイラストを描いた。

有田氏のライブペインティングは「Cintiq 21UX」と「Photoshop CS5」を使って行なわれた

ライブペインティングをスタートさせる前に、有田氏は自身の環境設定について紹介した。有田氏の作業スタイルは、右手はスタイラスペンで、左手はキーボード。左手をキーボードに添えているのは、描きながらいつでもキーボードショートカットを使えるため。しかし、状況によってはCintiq 21UX本体の左右についているファンクションキーも使用するとのこと。こちらのファンクションキーには、ズームイン・ズームアウトや、アンドゥ、回転などのショートカットが設定されていた。

有田氏のセッティングで特徴的なのは、ほぼすべてのツールで「ズームイン・ズームアウト」を同じファンクションキーに割り当てているところ。ワコムのタブレットプロパティはアプリケーションごとにショートカットを設定できるが、「ズームイン・ズームアウト」はすべてのツールで統一している。ひとつの作品を作り上げるために、いくつものツールを使う有田氏ならではのTipsだ。

「Photoshop」のタブレットプロパティ画面。他のツールとショートカットの内容を合わせてあるため、ツールごとに覚える必要がなくなる

「Photoshop CS5」ユーザーは「アートペン」を使うべき

有田氏にCintiq 21UXを購入したきっかけを聞くと、「以前から『Intuos 4』のエンジンが乗った新型の液晶ペンタブレットが出たら買うと決めていたんです。初めは雑誌のレビュー記事で使ったんですが、惚れ込んですぐに買いました」と製品を絶賛した。Cintiq 21UXは従来機に比べ、筆圧やペンの傾き検知性能が格段にアップしている。有田氏は、「従来機とは、まったく違います。毎日絵を描いていればわかりますね。もう元の機種には戻れません」と語っていた。

Cintiq 21UXには「グリップペン」と呼ばれるスタイラスペンが付属しているが、有田氏は1万500円で別売りされている「アートペン」しか使っていないそうだ。グリップペンでは筆圧と角度しか検知しないが、アートペンでは回転まで認識可能となる。このペンで「Photoshop CS5」を使うと、「絵筆ブラシ」の機能を活かせる。平筆系のブラシを選択した場合、描きながらアートペンを回転させると線の太さを任意に変更できるのだ。

有田氏は「僕は落書きをするときにカリグラフィーペンを使うような人間なので、アートペンの回転機能は気に入ってます。『Photoshop CS5』と『Cintiq 21UX』の組み合わせは最適ですね」とアートペンについて語った。この発言を裏付けるかのように、ライブペインティングでは、有田氏は何度もペンを回転させながら女性の横顔を描いていた。

標準で付属する「グリップペン」で平筆を使うと、ブラシの影が縦に長い状態となる

別売の「アートペン」なら、ペンの軸を回転させることにより、このように微妙な角度をつけられる

「Photoshop CS5」から搭載された「絵筆ブラシ」の魅力は、1本のブラシでこのように線幅を変えて描けるところ

トークをしながらわずか15分で描かれた完成イラスト。「Cintiq 21UX」と「Photoshop CS5」のみで描かれている