WWDC 2010で発表されたAppleの多機能携帯「iPhone 4」。基調講演後に限られた時間ではあったが実機に触れられたのでファーストインプレッションをお届けする。

iPhone 4の展示スペースに入った瞬間、これまでのiPhoneやiPodの展示スペースとは異なる様子に気づいた。iPhoneを手に持たず、机に置いたまま操作している人が多いのだ。

WWDC 2010キーノートスピーチでiPhone 4を手にするSteve Jobs氏

iPhone 4の背面はフラットで、平らなところに置いて安定する。またAppleが「Retinaディスプレイ」と呼ぶ960×640ピクセル(326ppi)のIPS液晶ディスプレイは、シャープで視野角が広いため距離や角度があっても見やすい。ディスプレイサイズは対角3.5インチと小さいので、iPadのように複数の人で使うことは難しいが、iMovie for iPhoneのように腰を据えて使いたいアプリは手に持つよりも机に置いたままの方が操作しやすい。iPhone 4には前面だけではなく、背面にもガラスのカバーが貼られている。プラスチックよりも30倍堅固で、ヘリコプターや高速列車のフロントシールドに用いられているのと同じキズがつきにくいガラスだという。背面もこのガラスカバーで覆っているのは、本体全体のキズ防止と同時に、置いて使うことも想定した設計ではないかと、実際に使ってみて感じた。

置いて使いやすくても、携帯電話だから持って使いにくければすべては台無しだ。iPhone 4はiPhone 3GSよりも2g重いが、幅が3.5mm細く、厚みが3mm薄い。数字ではわずかな差だが、iPhone 4を持ってみるとiPhone 3GSよりも「詰まっている」という感じがする。だがズッシリと重いのではなく、適度な重量感だ。それでいてスリムになったから、個人的には手の中で収まりが良く操作しやすくなった。

サイズは115.2×58.6×9.3mmで、重さは137g。iPhone 3GSは真正面からではホワイトモデルとブラックモデルの見た目は同じだったが、iPhone 4は前面でもホワイトモデルと分かる

ガラスが貼られたフラットな背面。iPhone 3GSとほぼ同じ重量で、9.3mmの薄さを実現している。ステンレススチール枠の質感も加わると、まさに"ソリッド"という印象

左側面。音量調節ボタンはシーソーボタンから+と-が独立したボタンになった。ボタンを指先ではっきりと感じられるので荷物の中などで押し間違えることはなさそう。クリック感もある。右側のスイッチはサウンドのオン/オフ

右側面には中央にマイクロSIMスロット。キーノートでJobs氏が「マイクロSIM」と述べた瞬間に会場には落胆の声が広がったが、9.3mmの薄さを実現するためには同形式の採用が避けられなかったそうだ

本体下部。左からマイク、30ピンDockコネクタ、内蔵スピーカー

本体上部には、オン/オフ/スリープ・ボタン(左)、3.5mm・ステレオヘッドフォンミニジャックと、そのすぐ横にノイズキャンセリング用マイクの小さな穴がある

背面の500万画素カメラ。720p HD動画を最大30fpsで撮影可能。またLEDフラッシュを備える

前面のカメラはVGA(640×480)の写真と動画(最大30fps)の撮影が可能。写真はカメラアプリを利用している状態で、左側にLEDフラッシュの設定ボタン、右側にカメラの切り替えボタン